掛け算の要因分析 ウォーターフォールグラフ

 企業価値の結果は当然変化するが、何が要因で変化したのかを把握するのは重要である。

例えば、

・売上が上がったからなのか
・収益性があがったからなのか
・マルチプルがあがったからなのか

などなど。

企業価値がこれら要因の和で表現されていれば、分析は簡単だ。しかしこれらは掛け算だ。だからどれがどれだけ効いているのかを表現するのは直感的には難しい。要は、掛け算の各因数要因を足し算で表現できればいい。

そこで次のように分解すると足し算の形で表現できる。まず二変数の場合。

T1 = a1 * b1
T2 = a2 * b2

T2 / T1 = 1/T1 *{ ( a2 - a1)*b1 + (b2-b1)*a2 } +1

a1のインパクト : 1/T1*(a2-a1)*b1
a2のインパクト : 1/T1*(b2-b1)*a2

と足し算の形で表現できる。変化量に相手の数を交互に掛け算しているのがポイントだ。もし三変数になったら、

a1
b1
c1

のうち、a1*b1=A1と考えて、A1をa1とb1の要因分解して、合計すればよい。

企業価値の場合(多くは株主価値か?)は、下記のように分解するのが一般的か。分解はそれぞれの場合に分析したい要因に分解すれば良い。

EV1 = 売上高1 * EBITDA1 / 売上高1 * EV/EBITDA1
EV2 = 売上高2 * EBITDA1 / 売上高2 * EV/EBITDA2

倍率 = EV2 /EV1

この要因分析はウォーターフォールグラフで表示するとわかりやすくて良い。ウォーターフォールグラフはExcelで一発で作れないが、積み上げグラフを工夫すればすぐできる。

下記の例で言えば、企業価値増加の一番の要因は、収益性の改善( EBITDA / 売上高)、ということになる。売上も、単価増加と量増加に分けたり、収益性も、粗利益率と販管費率に分けたり、いろいろ仮説次第でどんどん細かく分析すればよい。ウォーターフォール表示しておけば、細かいところをさらに細かく分析することも防げる。企業価値に限らず、この要因分析はいろいろ使えそうだ。

掛け算の要因分析 ウォーターフォールグラフ_e0194027_12184080.png

by km_g | 2012-10-20 12:15 | ファイナンス