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PERと成長率 高い成長率の場合はどう考える??

PERは、1/(rE-g)と等しく、投資家がその企業にどのくらいの成長率を期待しているのか、がわかりとても便利である。しかし、この式は配当割引モデルから導かれ、成長率が一定という非常に強い条件が課せられて初めて成立する式なのであり、うまく適応できるのは、成熟段階のようなある程度、成長がゆっくりな場合である。

しかし、成長率が大きな場合、この式はどうなるだろうか。rE<gとなったらどうなるだろうか。答えは発散である。つまりその株価は無限大である。rE>gの場合、遠い将来のCFを割引率rEで割り戻すと限りなくゼロに近くなる。だから、遠い未来にわたってCFの現在価値を足し上げてもとんでもない数にならないのである(遠い将来のCFの現在価値はゼロと見なせ、実質PVの足し算は途中で終わる)。

しかし、rE<gの時は、こうはならない。割引率というのは言わば、将来のCFに小さな数を掛算して割り引く値である。gは将来のCFを増幅する値である。割り引く値より増幅する値の方が大きい場合、いくら遠い将来のCFでもゼロにはならず、足し算が終わらないのである。10+10+10+・・・と続くのである。これを全部足し上げたら当然無限大である。

この式は、gがrEより大きな企業の株価は計算できないのである。

では、そもそもrEより高い成長率gを永久に続ける企業は存在するかというと、まず存在しない。だからrE<gの時に計算がおかしくなろうが関係ない!と思うかもしれないがそうでもない。

現実は、PLCに従って、低成長、高成長、低成長、衰退と変化し、rEより高い成長率の場合も短期的にはある。成長期の企業の場合、rE<gであることは大いにありうる。その場合PERを1/(rE-g)で考えると適正な株価の判断をすることはできない。

例えば、rE=10%、過去3年の平均成長率が15%のベンチャー企業の株をPER何倍で買えばよいのか?1/(rE-g)で算出するとPER=-20となってしまう。。。マーケットを見るとPER=20で取引されていた。1/(rE-g)で投資家の期待成長率を逆算すると、g~5%くらいになる。去年まで15%だったのに急に5%に落ち込むはずはない。割安だから買いだ!となってはいけない。マーケットは意外とかしこい。


製品、サービスによって、PLCの期間は異なるが、10年で成長率が半分になるようなモデルを考えてみる。つまり、初期段階は15%という高成長率だが、10年後には成長率が5%に落ち着くと考えるのである。さらに、十分に時間がたった場合、国のGDP成長率と同等になると考える。

初期:15%
10年後:5%
~30年後:リスクフリーレート=1.0%と仮定

エクセルを使って、各年のCFを成長率を上の仮定に従って調整して計算し、現在価値に割り戻して次年度のCFでPERを計算すると、PER=23となる。つまり、ある程度幅はあるが、投資家は向こう10年間で成長率が5%にゆるやかに落ち着くと考えているのである。

このように、rEより大きな成長率の企業の株価を考える場合、単純なPER=1/(rE-g)の式で、考えてはいけない。あくまで成長率が安定な企業の場合にのみ使えるのである。
by km_g | 2009-11-09 21:31 | ファイナンス