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M&Aでの企業価値評価

企業価値評価と言ったら、DCFとかマルチプルとかを思い浮かべる。しかし、企業の価値を算出するときは、誰が何のために行うのか注意しないといけない。経営者が自社の企業価値を算出する場合は、自身の事業計画を織り込んだ財務予測を作成しDCF法を用いて、算出するのが一番いいだろう。

しかし、M&Aの買収者が被買収会社の価値を算出する場合はちょっと異なる。それは相手がいるから。当然ながら、買い手はなるべく安く買いたいだろうし、売り手はなるべく高く売りたい。こんな時にDCF法なんか使ったら、決着がつかない。もちろんDCF法は参考値にはなるだろうが、それだけで価値を決定することはほとんどない。

一般的には3つの方法で総合的に決定する。DCF法の他に、類似企業比較法、類似取引比較法を使う。類似企業比較法とはマルチプル法のこと。そして、類似取引比較法とは、過去のどうような案件での価格を参考にする方法である。これら二つの方法のポイントは市場、相場観というところ。

類似取引比較法のポイントは、プレミアムである。市場価格に対して、どれほど上乗せして取引が成立したかがかなり説得力をもってくる。そもそもなぜ買い手はプレミアムを払わなければいけないのか。市場価格が100円なら100円で買えるはずのような気もする。プレミアムの根拠は、支配権にある。一般的な小口の株主には、拒否権も経営権もない。つまり、1株×100より100株×1の法が価値があるのである。では、そのプレミアムはどのくらいか?一般的な事例では3〜4割と言われている。つまり、DCF法で算出した企業価値と類似取引比較法では異なる量を測定しているのである。この点が重要である。

買い手はDCF法やマルチプルで算出した結果にプレミアムをのっけた価格を支払うべきだろうか。ここも重要なポイントである。そもそも買い手がある企業を買収する理由は、買った価格以上の価値があると思うからである。価値とは、その企業単体の価値にシナジーを加えた価値である。もしシナジーよりプレミアムが高かったらどうなるかというと、買った企業の企業価値は低下するのである。買い手は、シナジー効果以上のプレミアムを支払ってはいけないのである。

もし、シナジー効果が当該企業の価値の2割程度しか生まれないようであれば、その案件はうまくいく可能性が低い。買い手にとってM&Aとは、マイナス30%の利回りからスタートする非常に怖い投資なのである。よほどの自信と綿密なDD、計画がなければやめた方が無難そうな気がする。

もう少し詳細な計算
by km_g | 2011-01-31 00:12 | ファイナンス