人気ブログランキング |

デュポンの式 ROEの分解

財務分析をする時、必ず出てくるのがこのデュポンの式。

ROE (当期純利益/株主資本 )= 財務レバレッジ × 資産回転率 × 売上高利益率


ROEが大きい(小さい)原因がこの3つのどの項にあるかでより深い分析ができて便利というもの。しかしながら、ROEがなぜ重要で、いろいろな分解方法があるなかでなぜこの3つで分解するのか、というのを考えるとより良い。

まず、ROEがなぜ重要かというと、企業の目的の一つに「成長」があるから、というのが一番シンプルかな、と。成長がなぜ企業の目的として相応しいかというと、一つは、結果として獲得できる「規模」が競争優位の源泉になりうるから。もうひとつは、社員のモチベーションにつながるから。あと、株主の期待に応えるため。この3つかなと思う。

で、成長が目的とするとなぜROEが重要かというと、企業が成長するということは、新しい事業を行ったり、新しい製品・サービスを開発したり、新しい市場に攻める、ことが必要になってくる。多くの場合それは大きなリスクと大きな投資が伴う。。そのようなリスクマネーは銀行や債権で調達しにくく、株主からの調達が重要となる。株主にとってのりターンは、売上でも営業利益でもなく、純利益である。したがって、株主にとって、いくら投資して(株主資本)、リターン(純利益)はどのくらいか、がまず重要となる。それがROE。だから、ROEは重要。

ここから、ROEの分解の話。上式のそれぞれの項は、

(1)財務レバレッジ=総資産/株主資本
(2)資産回転率=売上高/総資産
(3)純利益率=純利益/売上高
※数学的にこの3つを掛け算すると、純利益/株主資本となるのがわかる。

となる。なぜこの3つに分解するかというと、それがビジネスのステップと関係が強いから。まず(1)は、資金の調達のステップを表している。やりたいビジネスをするためには100億円必要だとして、誰からどのくらい調達するのかがこのステップである。負債で調達することもできるし、株主資本で調達することもできる。しかし、たくさん株主資本で調達しすぎると、ROEの分母が大きくなってしまい、利回りが低下してしまう。しかし、負債で調達しすぎると、金利の支払いがつらくなる。このような中でバランスをしていく(~最適資本構成)。

e0194027_22292400.jpg

次に(2)の資産回転率。調達したお金をどう使うかがこのステップ。どんな工場をどこに建設するのか、本社はこんなに豪華にして意味があるのか、など事業のメカニズムを考え、調達した貴重なお金を有効に使うことが大切である。また、その購入した資産を効率良く売上につなげることも重要である。飛行機、ホテルの稼働率を最大化させることも資産回転率をあげることに寄与する。

最後に(3)の利益率。日常の経営に余分なコストはないか、かけるべきところにかけるべき量のコストをかけているか、である。

このように、いろいろな分解方法がある中で、この3つの分解は、ビジネスステップと強い相関があり、分析の結果を経営上の打ち手に繋げやすいのである。だからこの分解は有名になっている。

最後に、ROEを上げるのが大切だとして、この3つの項をすべてあげる必要は必ずしもない。例えば、高級レストラン(大きな資産を持ち)、それほど頻繁ではないが(資産回転率はそれほど高くない)、客単価の高い(利益率が高い)食事を提供する、のか、必要十分な店舗を構え(小さな資産)、安い食事(低利益率)を、たくさん売る(高回転率)。この2つはどちらも高いROEを達成しうるが、3つすべてを同時にあげようとはしていない。大切なのは、事業の特性や戦略と一緒に考えなくてはいけない。

e0194027_1253428.png


下は、時価総額2000億円以上の企業の中でROEの上位20企業のリストである。ゲーム、ITがさすがに強いという印象。その中で、JAL、いすゞ自動車がよく検討しているのが目立つ。

e0194027_2304393.png


このROEが高い企業を上で述べた3つのファクターのどのファクターが効いているが調べてみた。方法は、この20社の企業の資産回転型などのファクターの平均値からどれだけ離れているか、で比較した。

■高収益型
ゲーム、ITは収益力の高さでROEを高めているようだ。資産もあまりないので、資産回転率も高い気がするが、それほど高くない。なぜかというと、現金、のれんが大きいからのようだ。儲かっているので、現金がたまりやすく、M&Aも高い株式交換で行ったりして現金が減らない。またこのM&Aで生じた大きなのれんが資産にのっかっているようだ。


■高資産回転率型
大東建託、コスモス薬品、丸紅。大東建託は建築のコンサルをやってるようだ。資産回転率が大きくて、人件費が大きいため低収益になっているのも納得。コスモス薬品はドラックストア(ていうか、このコスモス薬品はの株価がすごい。ここ三年くらいずっと上昇中)。ドラックストアは資産回転率が高いのだろうか。資産の中身を見ると、商品と建物が大きい。資産回転率が高いということは、店舗の中身の商品がスペース単価が高い、または高回転ということ。たぶん両方だろうが後者がより効いてると思う。もし前者が効いてるなら、収益性は悪くないはずだが、この会社の利益率はあまり高くない。この企業をよく調べてみると、低価格を売りにしている企業のようだ。小さい商品を、高回転で売ってるのがこの企業の強みなのだろう。



■負債型

ソフトバンク、楽天、丸紅。ソフトバンク、楽天はM&Aを負債調達で実施してきた結果だろう。ただ気になるのは、楽天がレバレッジが大きいのは良いが、あまり収益性、資産回転率も高くない。分析したとしが悪かったのか?たぶん楽天は思ったほどうまくいってる企業ではないようだ。大丈夫か??


Download Investment Calculator / Android
ファイナンシャル・マネジメント 改訂3版---企業財務の理論と実践
ロバート・C・ヒギンズ
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 7,370

by km_g | 2012-06-05 17:13 | ファイナンス