IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ

 経営競争基盤の富山さんの本。一度富山さんの講義を受講したことがあるが、その時話していた内容と近い内容。

IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)

冨山和彦 / PHP研究所



一般的な経営分析は、資産回転率や営業利益率などの財務指標を元に、過去、同業と比較して悪い点を見つけて、原因と考察し、対策へと考えていく。しかし、この本が言うところは、事業の経済性、その企業が置かれている具体的環境、まで考察し、具体的にその企業に何が起こっているのか、何がその悪い指標となっている根本的原因なのか、を想像する必要がある、ということ。

この文章だけ読むと、そんなことはわかっている、そうしている、と思ってしまう。しかし、特に、事業の経済性については、満足行くレベルまで考察するのは結構難しそうだ。八百屋から、JAL、バス、その事業のコストの構造、どうすれば利益が増えるのか、の本質をシンプルに捉えられるか。なかなか難しい。それは、人間の行動まで考える必要がある。この本に書いてあることを信じれば、大手戦略コンサルのパートナーですら、大きな間違いをする。とのことだ。そのくらい、リアリティを追求するのは難しいのだろう。この本によると、それは頭の良さではなく、どのくらい現場を経験したか、で決まる。おそらくそうなのだろう。

最近、財務会計の基礎のきを教える機会があったが、その時まずを簿記をやったら、と話した。まわりの学生や講師も経営者は財務会計を実際にできる必要はなく、理解できれば良い。だから、簿記までやる必要がないと言っていた。その時、簿記をやっていた自分は、ホントにそうかなぁ。と思っていた。簿記をやった経験から、PLのどこが変化すればBS、CSのどこの数字が動くか、が良く理解できるようになったからだ。この本は、簿記をやれ、と言っている。スタンフォードBSでもそれに近いことをやらせるらしい。ちょっとそれを知って安心した。

ビジネス側の人間で財務会計を身につけたい人は

・簿記を自分でやり、財務諸表(PL、BS、CSそれぞれとその関係)を正確に理解する。
・どんな指標がどんな意味をなすのかを理解する。
・事業と財務諸表の関係を理解する(ラーメン屋はこんなBS、JALはこんなPLなど)。

このステップで学んだ方がいいと思う。
by km_g | 2012-06-25 18:04 |