企業再生プロフェッショナル

企業再生プロフェッショナル (日経ビジネス人文庫)

日本経済新聞出版社



アリックスパートナーズという再生ファンドの方が書いた本。


企業再生の流れを物語風に勉強出来る本。やや深みにかけるところもあるけど企業再生の流れを理解するにはとても良い本。ブックオフでダメ元で100円で買ったがもうけもんだった。

・ターンアラウンドマネージャーは事業会社とプロフェッショナルの両方のキャリアが必要
・企業再生の三位一体・・・・・財務の再構築、事業の再構築、経営システムの再構築
・再生の対象企業・・・・・予防型、バリューアップ型、再建
・経営不振企業の原因・・・・過剰投資、社歴の長い企業が環境変化についていけず
・経営不振企業の特徴・・・・見栄っ張り症候群(立派なオフィス、高い人件費)、青い鳥症候群(新規事業投資)、ゆでがえる症候群、他人のせい症候群
・現状診断の手法・・・・経営幹部へのヒアリング(拠って立つ立場を理解)、財務はキャッシュフロー重視、競合とのベンチ(どこが悪いかわかりやすい)
・ファンド投資判断時に使うバリュエーション方法にDCF法も使う(EBITDA倍率など複数方法使う)
・工場はフェンス沿いにまわれ・・・・DDするときなど、工場をよく見せようとして在庫などを隠してる可能性
・サプライヤーからの材料、部品の不良を工場で止めても遅い。サプライヤー出荷前で止めるように
・一つ一つの打ち手をコストベネフィット分析
・粉飾の調査手法
1:社内規程に基づくあるべき業務の流れの確認(粉飾の余地がどこにどのくらいあるか)
2:営業、経理、倉庫の担当者および管理者のインタビューによる実際の業務の流れの検証
3:商品の実在性、出荷状況の確認
4:会社の持つカルチャー、人事評価制度の分析(インセンティブ設計)
5:粉飾の入り込む余地の確認
6:見落としがないかについての最終確認

・一般的にまず私的整理を試みて債権者との調整がうまくいかない場合に法的整理をとる。理由は信用が維持しやすく、また短期解決になるため(法的整理は一律に債権がカットされるため)。
・民事再生法と会社更生法の選択は、経営者の扱いと削減対象の債権をどこまでにするかで決める
・民事再生法の場合は、経営者留任・無担保一般債権のカットだけなど(債権カットの範囲が浅い)。
・会社更生法の場合は、担保権もフリーズされる

本書で紹介されている再建計画の例
上場廃止、法的整理
①銀行による債権一部放棄とリスケ
②一般債権者の債権一部カット
③子会社売却
④生産体制の見直し
⑤人員削減と販管費の削減
⑥経営責任の明確化(社長退任)
⑦株主責任の明確化(社長保有株、上場廃止前に出資していたファンドの50%保有株償却)
by km_g | 2013-08-15 15:53 |