日本国債をもう一回学ぶ


 

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なんか分かったような気になっていた国債の話が、早稲田の野口先生 の講義でまた少し理解が進んだ(ような気がする)。

 

 

  • 日本国債の暴落リスクは利回りだけみてはわからない

日本国債がやばいやばいと言われながら一方で、利回りは低空飛行だ。一方で、CDS(クレジットデフォルトスワップ)のスプレッドは(現在は下がっている?)たまに上昇する。CDSはプット・オプションなのでスプレットが高いということは、国債価格の低下リスクが高いということを意味している。つまり、利回りから見ると国債は安全であると言えそうだが、CDSから見ると危ないという矛盾した状態になっているように見える。これはどう解釈したら良いのか。

 

これは利回り側の解釈に問題がある。フィッシャー方程式より

 

実質金利=名目金利 - 期待インフレ率

 

名目金利=実質金利 + 期待インフレ率

 

である。日本の期待インフレ率は今でこそプラスになっているが、少し前まで-1.0%弱となっていた。これが国債の名目利回りを引き下げ、国債リスクを過小評価してしまう背景となっていた。

 

 

この2つ以外もう一つ国債のリスクを表す指標として、デュレーション(保有債権の償還までの期間)がある。日本国債の大きな引き受けてであるメガバンクのデュレーションが短期化してるらしい。これはすなわち、日本国債リスクをメガバンクが高く見始めているということだ。

 

 

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出所:IMF

 

  • アベノミクス金融緩和は銀行から国債暴落リスクを切り取る意味もある(国債の貨幣化)

アベノミクスの三本の矢の一本目である量的緩和。これのストーリーは、日本銀行が銀行保有の国債を買取り、銀行の日銀当座預金が増える。結果、銀行の貸付余力が増加し企業融資が増え、企業はそれを使って設備投資を行い、好循環が生まれるというものだ。このストーリーがよく突っ込まれる点は、企業への貸付のボトルネックはそもそも魅力的な貸付機会がないことで、日銀当座預金ではないので、金融緩和をしても経済好循環は生まれない、という点だ。ただ、ある程度マネーサプライは増えているようだ(ただ、マネタリーベースがどれだけマネーサプライに転嫁されるかを表す信用乗数は低い。リフレ派は信用乗数が低いならばそれだけ多くマネーストックを増やせば良い、という)。

 

ここで書きたいのは、量的緩和の意味合いは他にもあるのはないか、という点だ。それは、銀行が保有する日本国債をバランスシートから外すということだ。現在メガバンクは確かそれぞれ30兆円くらいの日本国債を保有している(現在はもう少し減っているかもしれないが)。仮にこのままインフレになった場合、国債の価格は低下し、評価損が発生してしまう。

 

しかし、量的緩和によってこのリスクが日銀に移る。日本は、景気回復=国債価格低下=銀行利益圧迫という構造的問題がある。量的緩和はこれを解消する意味もある。

 

 

 

  • 国債の銀行消化の源泉は、預金の増加ではなく企業融資の減少分

日本国債が長らく消化できたのは、国民の預金を預かる銀行と生保が国債を買い支えていたおかげだ。特に近年は銀行が頑張っている。この資金の源泉は、預金の増加ではなく、企業融資の減少だ。つまり、今後仮に景気回復し、企業の借り入れ需要が増加した場合、国債の発行が困難になる可能性があるということだ。

 

(しかし、景気回復したならば税収も増加するはずで、発行する国債の額も減りそうな気もするが。。景気回復の度合いと増加する社会保障費の勝負ということか。)

 

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 引用元

 

■結局日本国債はどうなんだ

国債の買い手は、今後は日銀と外人にシフトするだろう。主なのは日銀だろう。これが続くとどうなるか。過度のインフレと円安になる。これが「破綻」の中身だ。問題は、日銀がどの程度まで国債を買い続けたら、どの程度のインフレになるか、だがここはまだクリアになっていない。もうちょっと調べよう。

 

 


参考:

 

http://www.bk.mufg.jp/report/ecorevi2010/review100428.pdf

 

 


by km_g | 2014-04-02 12:49 | ファイナンス