2016年 02月 12日
M&A EXIT
国内のVC投資のEXITのほとんどはIPOだという。これは、マザーズという上場しやすい?市場があるおかげだろうか。しかし、それにしても事業会社による買収(M&A EXIT)の絶対数が少ない気がする。これは問題だろうか。
IPO時の平均時価総額は100億円程度だろうか。これに対して、M&AEXITは、米国でも50億円程度、日本では20億円程度らしい。米国では、このM&Aが相対的に非常に多い。これが投資する側のVCにとって非常に意義がある。マザーズがある日本でさえ、IPOに耐えうる、品質、規模になるのはなかなか難しい。そして時間がかかる。しかし、M&Aの場合は、IPO水準に未達している企業も対象になる(M&Aの一番の理由が人材獲得)。つまり、M&AEXITがあることで、VCのEXIT数が増えることになる。10件の投資先のうちIPOが3件で残り7件がロスになっていたものがプラス3件M&AEXITとなれば、全体のリターンは当然良くなる。
なぜ、日本ではM&AEXITが少ないか。
■買い手側(大企業、事業会社)
・慣れていない
・買収後にどう経営すればいいかわからない
・どんなベンチャーがあるか知らない
・買収しても人材が辞めてしまうかもしれない
・失敗を過剰に怖がる
■売り手側(ベンチャー、VC)
・大企業の担当者と知り合いでない
・IPO重視
・大企業のお作法になれてない 過剰に嫌う
・売り込みが足りない
・手間がかかる(買い手担当者への説明)
あるVCの人曰く、M&AEXITはラッキーではなく、投資時から想定して投資しているという。投資直後から買い手候補の担当者と飲み会を開くなどしているとのことだ。また、非常に手間がかかるし、IPOよりも相対的に金額が小さくなりがちなので、その手間に見合うリターンを出すために、
・多めのシェアを確保
・安く入る
この2点を徹底しているらしい。加えて、買い手となる事業会社の事業戦略、予算、経営課題を把握しておくことに努力しているとのことだ。基本的だが疎かになりがちだと思う。
と、ここまで書いたが、グーグル、フェイスブック、ヤフーと言った新しくて・大きな企業がM&A件数に寄与しているのだろう。このような企業はベンチャーの論理をもちろん理解しているし、PMIもうまいだろう。このような企業が日本にまだまだ少ない。候補は、楽天、DeNA、GREE、ソフトバンクなどだろうか。こういう企業がもう少し増えてくるとM&Aは増えてくるかもしれない。こう考えると、VCとして過去に投資してIPOEXITした企業が今度は買い手となると、VCにとって一番やりやすい。EXITしたあとも定期的に連絡をとるなどしないといけないのだろうな。