CVC

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CVC=Corporate Venture Capital設立のニュースをちらほら見るようになってきた。

三井不動産が50億円のCVCをグローバル・ブレインと共同で設立
オムロンとリコー、VC育成で共同ファンド 50億円規模

CVCの目的は大きく二つあるが、多くのCVCの目的は戦略的リターン=オープンイノベーションだろう。

  • 財務リターン
  • 戦略的リターン

次に問題になるのが活動形態について。

1:社内CVC
これが本来のCVCだろうか。Intel capitalはこの形態だと思われる。

 ●メリット
 ・コントロールがしやすい
 ・親会社によるベンチャー支援がしやすい
 
 ●デメリット
 ・意思決定が遅くなりがち 大企業の意思決定システム 
 ・投資に素人の社員が投資ができるか?(人事ローテ問題)
 ・失敗投資の処理が難しい


2:社外VC設立(2人組合)
銀行系VCは主にこの形態。

 ●メリット
 ・別の意思決定システム導入可能
 ・専門キャピタリストが採用可能(給与体系などを独自に設定可能)
 ・「ファンドへの出資」形態と比較して、コントロールがしやすい

 ●デメリット
 ・ファンド管理が面倒
 ・人事ローテ問題
 ・出向者とプロパーの扱い、区別
 ・本体との連携が手薄に?


3:ファンドLP出資
外部の独立系VCにLP出資する形態

 ●メリット
 ・プロキャピタリストのノウハウ獲得可能
 ・質の良い情報ソース
 ・財務的リターンが期待できる

 ●デメリット
 ・LPシェアが少ない場合情報が得られない。ただの財布に。
 ・VBへのコントロールがしにくい。オープンイノベーションにつながりにくい


理想的には、3の形態から初めてVCのノウハウをため、1の形態に以降するのがいいと思う。しかし、日本企業の問題は給与制度の問題が大きくて中途半端な2の形態にせざるを得ないと思われる。
この場合、プロのキャピタリストの獲得は必須であると思われるので、せっかく別会社にするので、思い切った給与システムを導入するべきだ。

最近、1の形態から初めて、ソーシングや目利き、VBの取り扱いなど本来ベンチャーキャピタリストが担う機能をアウトソーシングしている事例も見られる。01ブースターは森永製菓と組んで新規事業開発からVB投資補助などを行っているようだ。また、3の形態でも事業会社とプロのVCと2社または少数のLPで共同でファンド設立する例もあるようだ。これは、コントロールも効くし、良質なVBとの接点も確保できる。ただし、トップティアのVCがLPの過半数をある事業者に持たせることはなく、LPが集まらない2流のVCと組むケースにならざるを得ないかもしれない。この場合、成功の確率は不確実になるかもしれない。一方、2流のVCはこのようなCVC支援事業?は良い飯の種になるかも?

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by km_g | 2016-03-06 23:49 | VC