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プラットフォームビジネスの注意点

 技術系ベンチャーのビジネスモデルで、プラットフォーム型?がけっこう多い。

・室内の隅々まで届くwiriホッピング技術
・非常に少ないデータ数で学習できるAIアルゴリズム
・いろんな創薬のタネを作れる

などなど。経営学的にプラットフォーム型と言わないのかもしれないけど、バリューチェーンの上流にコアコンピタンスがあって、最終製品は作らないようなビジネスモデルのことをここでは指す。

プラットフォーム型ビジネスモデルを選択すること自体は否定はしないが、立派な(と思われる)プラットフォームを作ったはいいが誰もそれを使ってくれない、という状態に陥っているところが多い。これでは、シード期は良いがシリーズAあたりできつくなる。

このような段階でVC側は、キラーアプリケーション(何に一番使えるのか)は何か、というのが気になっている。プラットフォームの幅広さ、よりも何かの用途に素晴らしく使えるかどうか、が気になる。一方、ベンチャー側は、「我々のプラットフォームは特定用途にとどまらず、幅広く使える」と思っていて、特定用途に拘ることを嫌うことが多い。

またVC側は、いろいろな分野でそのプラットフォームが使われている状態ではなく、ある特定の用途で使われる程度でIPO水準の収益規模になるかどうかを気にしている。なぜなら、IPOまでのたかだか5年間でいろいろな用途で実際に使われるのはまず無理で、ある特定用途で使われるくらいまでしかいかないと思っている。なので、特定用途向けだけのビジネスで二桁億円の売上が出るかどうかを気にしている。
一方ベンチャー側は、幅広く使えると思っているので、特定用途単体でのビジネス規模はあまり気にしていなく、やはり幅広さを重要視している。なので市場規模の議論をすると噛み合わないこともしばしば。

アプリケーションを探すために、いろいろなパートナー企業に営業にいったり、デモ動画を作ったり、展示会に出したりしながらプラットフォームの宣伝をする。しかし、小さな受託はたくさん集まるだろうが、これは、というのはなかなか見つからない、ものにならないケースが多いのではないか。
ベンチャー側は、そのプラットフォームがいかに素晴らしいかを、ベンチャー側自らがアプリケーションを作ることで、その可能性・素晴らしさをパートナー企業や外部に示す必要がある。デモ程度ではなく、全体のビジネスモデル、パートナー企業がいかに(小さい労力で)儲かるか、お手本、を示す必要ある。そこまでしないとなかなか乗ってこない。これがなかなかうまくできるベンチャーが少ない。

原因はおそらくチーム構成にある。プラットフォーム型に限らず、技術系ベンチャーの創業メンバーは、

・発明者、キー技術者
・CEO
・管理系

こんな感じ。ここでの問題はCEO。CEOの方がプラットフォームのビジネス展開、パートナー企業とのビジネスを構築できるか、が重要になる。一見するとキー技術者でもできそうな気がするが、多くの場合研究者っぽい方なのでたぶん難しい。CEOの方ができるかというと、やはり難しいことが多い。特にバリューチェーンが長いビジネス向けのプラットフォームの場合、その業界全体まで精通しないとささる提案はきつい。アプリ候補となる複数の業種、業界で精通しているなんてことはおそらくない。なので、パートナー企業にぐっときてもらうビジネスを提案することがなかなか難しい。

ここでうまくいくベンチャーは、ある業界で長く実務経験がある人が参画してくれて、かつその業界向けにそのプラットフォームがマッチする場合。CEOの方の仕事はむしろそういう業界経験者をいかに採用するかが重要だと思う。その方がいると一気にビジネスモデルにリアリティが出て、また先方からの信頼もあがり、ビジネスがまとまる可能性も高くなる。この段階になると、プラットフォーム型は少し薄れてきて、眼の前の用途に集中するという経営にやっとなる。

プラットフォームビジネス。響きは良いが、けっこう難しい。その問題の本質は、その技術なり製品が「本当に」プラットフォーム性があるのか、という見極めにある気がする。本当にいろいろな用途に使えるのであればそれは素晴らしく、おそらく、外部からいろいろな提案が既にきているかもしれない。しかし、ほとんどは、プラットフォーム性はおそらくなく、特定用途にしか使えない技術・製品の可能性高い。単純にマーケット・お客・ニーズが見えてないだけの可能性が高い。


by km_g | 2018-12-02 11:38 | 起業