2019年 05月 05日
ベンチャーキャピタル向けの事業計画書(主に技術系向け)
下記は、その「最低限」。
1.会社の目的、実現したいこと、その理由、あなた自身
・なぜ、この事業・サービスをはじめたのか。やりたいと思っているのか。
・直近の事業の話だけでなく、その先のビジョンも。
・過去にどんな経験があって、今現在に至っているのか。
・あなた自身(チームの説明ではなく)のこれまでの経験もおりまぜて。
2.解決したい課題
・「誰の」「どんな(深刻な)問題」を解決するのか
なるべく具体的に。写真や動画を使ってもOK。ペルソナも織り交ぜて記載。
あまり壮大な課題は注意(例えば、医療費増大を解決します!はリアリティがないので注意)。
どれほど深刻なのか。「あるといい」ではなく「必要」であるか。
専門性が高い業界の場合は、その問題がなぜ問題なのか、も伝わるように記載する。
・その問題に対して、顧客はどんな対処をしているか
我慢している(何も対処していない)、は注意。それほど困っていない可能性がある
・なぜ、その問題が今そのままになっているのか?
最近問題が顕在化したのはなぜ?なぜ、今日までその問題がそのままになっている?
それほど問題ではない可能性はないか
・顧客も気づいていない問題の場合もある。
・なぜ「今」なのか。
3.解決方法、ソリューション、製品
・その解決方法で、顧客・ユーザーの何が・どのくらい・なぜ、改善するのか。
解決するメカニズムを記載。なぜその方法でその問題が解決されるのか、が伝わるように。ただし、技術に入り込み過ぎないように。
買ってもらえる、使ってもらえるイメージが伝わるように。
図や写真、デモ動画(試作品すらない場合は重要。創薬の場合もポンチ絵でも)
・その製品の性能だけで買ってくれるとは限らない。必要条件を満たしているか(コストなど)
・POC(Proof of Concept)はどの程度済んでいるのか?
・製品・サービスの詳細
提供価格、コスト
製品仕様・サービス詳細
収益がでるか
導入方法、ステップ
4.トラクション
・既に製品リリースされている場合は、そのトラクションを記載。
・「あなた」「チームメンバー」の前職などでのトラクションも効果的。
5.ユニークな洞察
・VCの人はビジネスプランをけっこうみるので、他とは違う何か、を記載する。けっこうここが重要。課題がユニーク、ソリューションがユニーク、などなど。これがないとそのベンチャーに投資する理由がない、となってしまう。
6.ビジネスモデル
・お金、商品・サービスの流れ
・価格とその理由、コスト
・誰から、どのように収益を得るか
広告収入、ロイヤルティ、ライセンシング、販売、レンタル、月額
・顧客(収益を得る相手)とユーザーが混乱しやすい場合は注意
・自社は何をするのか(何をやらないのか)
部品提供、最終製品
どんなパートナーと組む必要があるのか
・顧客の具体名の例を記載してもよい(~顧客リスト)
7.市場規模、成長性
・ボトムアップの視点を忘れずに。トップダウンだとどうしてもリアリティがなく聞こえてしまう。
トップダウン「全人口の◯%が・・・」 Total Addressable Market
ボトムアップ「単価◯円、具体的顧客名・数、地域の積み上げ」 Serviceable Available Market
・国内だけでも数百億円の市場規模(シリコンバレーでは、数千億円?)があることが望ましい。
・金額算出が必須ではない。要は大きいこと・伸びることが伝わるか。
・全体市場とそのベンチャーの商品の市場規模を間違わないように(エンジンの市場規模と自動車の市場規模は違う)。
8.競合との比較
・競合「技術」だけでなく、競合する「ソリューション・解決方法」で比較する。
その技術を使わない方法もあるのでは? もちろん、その技術領域の中での比較も重要。
・単純に「差」を説明するのではなく、他にはできない何ができるのか
「◯◯は高コストだから自社が優位」、で終わらずなぜ自分たちは低コストを実現できるのか、を記載する。
・技術者の視点ではなく、ユーザー・顧客の視点から比較
◯◯が高精度に測定できる!高品質!→それが顧客にとってどのような・どのくらいのメリット?
・「競合はいません!」は注意。
業界のこと本当に知っている?(その場でVCにググられて競合を見つけられたらアウト)
競合が入ってきていないということ=魅力度がないビジネスでは?
本当にいない場合はその理由を説明
・知財情報
出願、権利化済みか
出願国
権利者は誰か
請求項は答えられるように
9.チーム
・創業メンバー、取締役だけでなく、コアメンバーも。
・過去、直近までの経歴 「●●年間の業界経験」はぜひアピール。受賞歴、表彰歴
・出会った経緯
・支援者、アドバイザー
・できれば、顔写真も(意外に重要)
10.事業計画
・開発計画と販売計画をわけて記載。
・5年程度で上場、M&Aが狙える水準かどうか。
・マイルストーンを記載する。
量産化、薬事申請、ファースト・インヒューマン、POC完了、その他KPIなど
マイルストーンが資金調達のタイミングの候補となる。
11.収益計画、資金調達計画
・年ベースの収益計画。概ね5年。(1~2年間分は月次ベースを作成しておく)
・売上が上がるタイミング、黒字化のタイミング
・売上/利益以外にKPIも明記(顧客数、販売個数)
・調達資金
・マイルストーンごとに必要な資金、資金使途
「まずは、◯◯を実現するために、△△万円調達したい」
最後に、あくまで上記は最低限の内容。大事なのは事業の中身。製品の中身。チームの中身。事業計画書、ピッチ資料を作成することにあまり時間をかけすぎず、事業内容検討、製品開発に時間をかけるのがまず最優先。
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