資金調達に困ったら

資金調達はスタートアップの経営者にとって一番気を使うところ。もし、あてにしていた投資家からNGをもらってしまったら、、


  • 資金繰り確認
残り2ヶ月を切ったら黄色信号。どうしても削減しないといけないコスト以外は凍結する。バーンレートが1,000万円以下であれば、経営陣の個人資産で1〜2ヶ月引っ張れるかもしれないが、それ以上になると資金ショートの時期は動かせにくい。人件費や家賃は急には減らせないが、開発費や広告費はまず止めざるを得ない。1〜2ヶ月は確保したい。
最悪の倒産や精算になると、従業員、債権者、仕入先、株主、がステークホルダーになる。その中で従業員への給与未払いのままクローズとなると、債権者や株主を泣かせるより大きな社会的影響が出てしまう。(ベンチャーの倒産についてはまた別途。)

  • なぜ投資が集まらないか
やはり結果には原因がある。バリュエーションなのか、チームが弱いのか、対象マーケットが悪いのか、競争優位性がないのか、、、。なぜ投資家が振り向かないかしっかり理由を考察する。多くの場合バリュエーションではない。本当に魅力なスタートアップであれば、条件交渉をしてくるもの。それがないなら、違う理由で「そこまでではない」と思われている可能性が高い。

(よく数十の投資家に一気にアポをいれるケースが見られる。もちろん良い面もあるが、原因分析をしないままアタックしまくり、せっかくの機会を失ってしまう可能性もある。既存投資家や仲の良い投資家にしっかりフィードバックをもらってからアポいれがよい)

原因がわかったら、その点を変えるのか変えないのか、どう修正するのか、補強するのかを検討する。いろんな意見がくるので全部鵜呑みしてはダメ。そして投資家によっては断りやすい理由をいうだけで、本質的な理由を言わないこともある。

すぐ改善できればよいが、数ヶ月かかる改善もあるかもしれない(エビデンス取得、チーム補強など、営業実績など)。その場合でもすぐ諦めず↓に書くように、その改善までブリッジファイナンスを検討する。

  • 既存投資家と交渉
既存投資家は、インサイダーである良い情報悪い情報もすべて把握している可能性が高く、新規投資家の呼び水としても重要。これまでの事業進捗、コミュニケーション、予実など既存投資家に対して良い関係性が築けているか、が問われる。

  • 資金調達額を分割する、バリュエーションを下げる
条件が原因ではない可能性もあるが、条件の緩和を検討する。具体的にはバリュエーションと調達金額。前回ラウンドのフラットまで一気に緩和してもよい。調達金額については、ダイリューションについてはもはや気にしない、多く調達するという方針もあるかもしれないが、例えば5億円調達しないと次のマイルストーンが達成できないとすると資金の出し手は、「本当にこの段階から5億円集まるだろうか」と不安になり、出しにくい。
なので、資金調達額を減額するだけでなく、小さなマイルストーンを設定し、なんとか達成できる金額だけ調達するプランを検討する。

前回フラットの条件であると、前回せっかく出してくれた投資家が反発する可能性がある。なので、まず前回投資家に同条件で追加投資の依頼をするか、しっかり説明してから新しい投資家にその条件をもっていく。
大きくダウンラウンドせざるを得ない場合。既存投資家はダイリューションしてします。フルラチェットはあまり見ないので、ある程度ダイリューションの被害を受ける。しっかりと説明する。

CBやKISSのようなストラクチャーを検討するケースもあるが、新しい投資家にとってあまり魅力度はない。次のラウンドの株価に引きづられて悪い条件になるストラクチャーはあまり意味がない。

このようなギリギリの状態になると既に一通り投資家にアタック済みだろう。そのアタック済みの投資家に条件を変えて再提案することになる。基本的には「あ、そこまで悪い状況なんだ」とネガティブな印象を与えてしまう。ただ、このように引いてしまう投資家と、「よし、良いチャンスだ、さらによい条件、よい事業計画に変更できる、交渉できるチャンスだ」と積極的な対応をしてくる投資家もいる。後者のようなスタンスはある程度力量がないと無理。残念ながらフォロワー投資家はこのような反応はしない。後者のような投資家にあたる。

  • どうしても資金が集まらないなら
どうしても資金が集まらないなら、固定費を一気に下げて延命プランを検討する。多くの場合、それは人件費。会社は、債権者がトリガー引かない限り倒産イベントは起きない。1ヶ月前には社員に通知し、場合によっては転職活動の協力もする。後味悪いやめ方の場合、会社の悪い噂を流すこともある。誠意をもって説明したら、もしかしたら、給料大幅ダウンでも協力する!という社員も出てくるかもしれない。社員に限らず、債権者、株主、仕入先、顧客などステークホルダーにはなるべく誠意をもって説明する。

資産や社員の精算をすれば、バーンが最小化され延命できるかもしれないが、その意味は何か、も考える。いったん頭を下げて会社をたたみ。新しいベンチャーをゼロから作った方が良いかもしれない。何を切って、何を残すか。再生後のプランを考えてリストラをする。これは資金ショートの一ヶ月前には実行しないといけないので、2ヶ月前にはシナリオ検討しておく。


債権処理、倒産、精算についてはまた書く。


by km_g | 2022-01-30 14:05 | VC