カテゴリ:ファイナンス( 89 )


日経がROEを基礎とした株価指標(JPX日経400)を公表し始めている。
判断基準は以下の3点(加重配分)とのことだ。

  1. ROE3年平均  40%
  2. 3年累積営業利益 40%
  3. 時価総額 20%

1点目が新しい点で’効率性’を重視するために導入したとのことだ。また二点目の営業利益は規模を反映するためのものだろう。3点目に時価総額が入っているのがちょっと気持ち悪い。このJPXがなんのために、誰のための数値がよくわからないが株式投資家が対象であれば現在の株価が高過ぎるのか安すぎるのか、適正株価はどのくらいか、ということが知りたいと思うので、だとするとその指標に結果である株価が入ってるのは気持ち悪い。

それはさておき。話題となっているのはやはりROEのところ。ROEはBSの自己資本を小さくすることで短期的に高くすることが容易で、破綻リスクが高い(自己資本が少なすぎる)企業を高評価してしまう、という問題が指摘されている。

しかし、ROEは利益成長を伴わない企業でも、人為的に引き上げることが可能だ。利益剰余金を吐き出して、株主資本をそぎ落とす一方、多額の借入金で事業資金を賄って利益を出せば、理論上はROEがいくらでも大きくなる。たとえ大幅減益でも、減益率より株主資本の減少率が大きければ、ROEは大きくなる。
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まぁ、山崎元さんも書いてある通りというか当たり前だが、重要なのは経営実態であってROEでなくても単一の数値だけでは経営実態は当然わからない。

とは言え、たくさんの企業のフィルタリングとか、マクロ的な分析をする上でいくつかの数値だけで分析したいというニーズはあるはずだ。そこで、例えば今回の経営効率性を判断するための数値として案としてあげたいのは、ROEとROAによる判断だ(数学的に自己資本比率とROEによる判断と等価なのだが)。

ROA =純利益/総資産
ROE =純利益/自己資本
ROA/ROE = 自己資本比率

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・ROEが小さいがROAが高い(自己資本比率が高い)
いわゆる負債ゼロ企業型だ。負債による節税効果をもう少し追求してもよいかも。


・ROEが高いがROAが低い企業(自己資本比率が低い)
これは多くの記事が懸念している自己資本が小さすぎるためにROEが高く見えている可能性がある。


ただし、自己資本比率の高い低いはやはり業種、外部環境によって判断が変わってしまう点は注意が必要だ。例えば半導体企業のように、収益の高低が大きい業種はそれに耐えられるように、自己資本を高目にすることもあるかもしれない。その場合ROEは小さめになってしまう。逆に、鉄道のように安定している場合は自己資本は小さめでもよいかもしれない。少ない指標で企業を判断することは確かに便利だが。簡単だからこそ、その数値の意味を正確に理解してから使わないといけない。





by km_g | 2014-08-24 17:54 | ファイナンス

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120超円を超えるGPIF(ガバメントペンションインベストメントファンド)の運用方針が変わるらしい 。目的はもちろん、運用利回りをあげること。

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、高収益の日本株を組み込んだファンドへの投資を始める。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントなど数社に運用を委託する。委託規模は1社あたり、2千億~4千億円規模とみられる。日経平均株価などの市場平均を上回る運用利回りを目指す「アクティブ運用」を本格化する。

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現在の運用益は10兆円弱らしいが、ここ数年で見ると5%(6~7超円)あるかどうか。さらに、14年度は積立金の取り崩しをはじめるとのことだ。それもポートフォリオをみれば納得する。半分以上の55%(70兆円程度)を1%以下の低利回りの国債に投資しているからだ。

一方、年金ファンドと言えば思い出すのが全米最大の年金ファンドのカルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金。運用総額26超円)。運用利回りはなんとVCもびっくりの12.5% ということだ。
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ポートフォリオはGPIFと違って株式に半分以上を投資しているようだ。ローリスクローリターンの年金を株式を運用するとは何事だ!というおしかりが聞こえてきそうだが、運用生成の推移 を見るとそんな文句も言えなくなってしまう。

GPIFもこれに習ってなのか、株式の配分を増やすというわけだ。カネがないから利回りを増やそうって話なので、何かを増やすというこはなにかを減らすということだ。減らすのはおそらく国債だろう。国債を売って株式を買うということだ。ところで、その国債は誰が買うのだろうか。量的緩和で銀行保有の国債を現金化してるのだから銀行ではないだろう。となると買い手は日銀しかいない。そう考えるとGPIFの国債買い取りは量的緩和の広い意味で同じ政策と言えそうだ。

さて、今回の配分変更で株式市場にどれくらいのマネーが入ってくるのか。おそらく10兆円はあるだろ う。東証一部の一日の出来高は数兆円なので、大きなプラスのインパクトがあるだろう。また、直接はきびしいかもしれないが、ファンド・オブ・ファンズの形でもいいのでベンチャーキャピタルにも投資すれば、1兆円でも十分な好影響が期待できる

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 このような大きなメリットがありそうだが、ただ問題は運用に失敗した時だ。現在の株高は第三の矢の失望によって失速しかけている。おそらく、今回のGPIF騒ぎも株高を維持(第三の矢の時間稼ぎ)する目的もあるだろう。安倍政権が第三の矢を失敗し、株価が失速し続けたらどうするのだろうか。さらに高利回りを狙って新興国の株式でも買うのだろうか。そもそも、今回の背景にあるのは年金の運用側の問題ではなく、支出側に問題があるように思う。すべきは、まず年金支出の削減だと思う。金持ち老人、働ける老人、の年金はこういう事情なので減らす遅らすことは必要だと思う。それでどうしても足りなければ運用側に手をいれるべきだと思う。まぁ、現在の利回りは低すぎるが。。








by km_g | 2014-04-21 01:27 | ファイナンス

シャープ 再度大型増資

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シャープが大型増資を発表した
電子機器・ディスプレー大手のシャープが新たに増資を検討している。実現すれば、バランスシートの強化を目指す同社にとって、1年足らずのうちに2度目の増資となる。
朝日新聞の報道によると、シャープは2000億円(約20億ドル)規模の新株発行を検討している。同社は声明で、資本増強のためのさまざまな方策について検討していると述べたが、声明内容以上のコメントは控えた。
朝日新聞の報道を受け、週明け14日のシャープ株は一時、前週末比10%安の269円まで落ち込んだ。これは日中の最安値としては5カ月ぶりの低水準だ。これにより、5億ドル近くの市場価値が吹き飛んだ。
株価は先週末に比べて終値で9%弱の下落だった。Samsung鴻海 との提携を断り、頑なまでに自力で頑張る、というわけだ。ここで改めてシャープの財務状況 を見てみる。
売上(M円)
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営業利益
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設備投資
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研究開発費
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自己資本比率
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営業CF-投資CF
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とりあえず、やばい。自己資本比率もやばいが、設備投資、研究開発費もどんどん減らしているにも関わらず、利益が全然出ていないってのがやばい。FCFもマイナスで現預金は1800億円と少しはあるようだが、FCFが設備投資をしぼってマイナスなので、何もしてない状態という感じ。
 増資を発表した際の株価の反応だが今回は9%の下落だが、常に下落するわけではない。むしろ基本的には株価にはプラスに作用する方が自然。なぜなら、増資の目的というか、結果として企業価値を上げるために行うからである。ミクシィの増資 の時には大幅に株価は増加した。では、どういう増資なら株価にプラスで、どういう増資ならマイナスになるのか。それは、EPSが増えるかどうかだ。
今回の2000億円の増資によって、新たな投資によって新しく利益が得られるかもしれないし、現状のビジネスの効率があがって利益が増えるかもしれない。いずれにせよ、今回の増資はなんらかの利益貢献が期待される。その貢献利益と増資のために新たに発行する株式によるEPSの希薄化の勝負になる。

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分析の前に、増資前の株価を見てみると、PER的にはあり得ない株価になっている。それは現状の純利益の水準は一時的なものであり本来のシャープの実力はもう少し高い所にある、と市場が判断しているからである。この実力値を正常業績と呼ぶと、下記のような状態が近いのではないかと思う(純利益率を適当にふりながらPERがそれっぽくなるようにした)。この状態のEPSは23.8円ほどだ。
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さて、ここから増資である。2000億円の増資を想定する。この増資によって、正常純利益がどの程度伸びると市場は判断しているのか。これを調べるためにEPS分析をしてみる。ここで言うEPS分析とは、株主はEPSが不変になるように株価を決める、という考え方だ。新規に株式を発行してEPSが希薄化するのであれば、株価は下がるし、それを上回る利益貢献があれば株価は上がるというわけだ。この考え方で、純利益倍率によって増資後の全体のEPSがどうなるか、を計算する。増資後の株価273円は、EPSが不変になるような株価なはず。そうすると、およそ純利益倍率1.4倍の場合、EPSが増資前と同じ23.8円になる。これが、市場のEPS的な見方だ。純利益1.4倍というと純利益580億円、純利益率2%、PER11.5という水準だ。なんかそれらしい。
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2009年数値 

テレビ用液晶パネルの世界シェア(2009年)


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さて、もう一度ビジネスを考えてみる。シャープはiPhoneをはじめとした小型液晶市場で勝負をかけようとしているのは明白だろう。このセグメントだけで見ると成長性があるし、サムスンにもまだシェアだけで見ると勝てている。大型テレビ向けとスマホ向け小型液晶、この二つの市場は異なる競争原理が働いているのだろうか。それとも全体で見たシェアが大きい(サムスン)プレイヤーが結局勝つのだろうか。テレビ向け大型はもう付加価値が出しにくいが、小型はなにか付加価値を出す余地があるのだろうか。要はこの二つが戦略的に異なる市場かどうかだ。Amazonが3Dスマホを出すようで、やはりスマホならではも液晶があるかもしれない。省エネ?割れない?3D?曲がる?透明?形状変化??
ここでちょっと気になるのが最近話題のジャパンディスプレイ。けっこうシェアあるではないか。シャープはジャパンディスプレイの事を面白く思っていないだろう。国は余計なことをせず、シャープがジャパンディスプレイのもとになった企業を買収すればよかった気がする。。






by km_g | 2014-04-17 00:40 | ファイナンス

日本国債をもう一回学ぶ


 

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なんか分かったような気になっていた国債の話が、早稲田の野口先生 の講義でまた少し理解が進んだ(ような気がする)。

 

 

  • 日本国債の暴落リスクは利回りだけみてはわからない

日本国債がやばいやばいと言われながら一方で、利回りは低空飛行だ。一方で、CDS(クレジットデフォルトスワップ)のスプレッドは(現在は下がっている?)たまに上昇する。CDSはプット・オプションなのでスプレットが高いということは、国債価格の低下リスクが高いということを意味している。つまり、利回りから見ると国債は安全であると言えそうだが、CDSから見ると危ないという矛盾した状態になっているように見える。これはどう解釈したら良いのか。

 

これは利回り側の解釈に問題がある。フィッシャー方程式より

 

実質金利=名目金利 - 期待インフレ率

 

名目金利=実質金利 + 期待インフレ率

 

である。日本の期待インフレ率は今でこそプラスになっているが、少し前まで-1.0%弱となっていた。これが国債の名目利回りを引き下げ、国債リスクを過小評価してしまう背景となっていた。

 

 

この2つ以外もう一つ国債のリスクを表す指標として、デュレーション(保有債権の償還までの期間)がある。日本国債の大きな引き受けてであるメガバンクのデュレーションが短期化してるらしい。これはすなわち、日本国債リスクをメガバンクが高く見始めているということだ。

 

 

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出所:IMF

 

  • アベノミクス金融緩和は銀行から国債暴落リスクを切り取る意味もある(国債の貨幣化)

アベノミクスの三本の矢の一本目である量的緩和。これのストーリーは、日本銀行が銀行保有の国債を買取り、銀行の日銀当座預金が増える。結果、銀行の貸付余力が増加し企業融資が増え、企業はそれを使って設備投資を行い、好循環が生まれるというものだ。このストーリーがよく突っ込まれる点は、企業への貸付のボトルネックはそもそも魅力的な貸付機会がないことで、日銀当座預金ではないので、金融緩和をしても経済好循環は生まれない、という点だ。ただ、ある程度マネーサプライは増えているようだ(ただ、マネタリーベースがどれだけマネーサプライに転嫁されるかを表す信用乗数は低い。リフレ派は信用乗数が低いならばそれだけ多くマネーストックを増やせば良い、という)。

 

ここで書きたいのは、量的緩和の意味合いは他にもあるのはないか、という点だ。それは、銀行が保有する日本国債をバランスシートから外すということだ。現在メガバンクは確かそれぞれ30兆円くらいの日本国債を保有している(現在はもう少し減っているかもしれないが)。仮にこのままインフレになった場合、国債の価格は低下し、評価損が発生してしまう。

 

しかし、量的緩和によってこのリスクが日銀に移る。日本は、景気回復=国債価格低下=銀行利益圧迫という構造的問題がある。量的緩和はこれを解消する意味もある。

 

 

 

  • 国債の銀行消化の源泉は、預金の増加ではなく企業融資の減少分

日本国債が長らく消化できたのは、国民の預金を預かる銀行と生保が国債を買い支えていたおかげだ。特に近年は銀行が頑張っている。この資金の源泉は、預金の増加ではなく、企業融資の減少だ。つまり、今後仮に景気回復し、企業の借り入れ需要が増加した場合、国債の発行が困難になる可能性があるということだ。

 

(しかし、景気回復したならば税収も増加するはずで、発行する国債の額も減りそうな気もするが。。景気回復の度合いと増加する社会保障費の勝負ということか。)

 

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 引用元

 

■結局日本国債はどうなんだ

国債の買い手は、今後は日銀と外人にシフトするだろう。主なのは日銀だろう。これが続くとどうなるか。過度のインフレと円安になる。これが「破綻」の中身だ。問題は、日銀がどの程度まで国債を買い続けたら、どの程度のインフレになるか、だがここはまだクリアになっていない。もうちょっと調べよう。

 

 


参考:

 

http://www.bk.mufg.jp/report/ecorevi2010/review100428.pdf

 

 


by km_g | 2014-04-02 12:49 | ファイナンス

質問へのお答え

コメントありがとうございます。
返答欄に書ききれなかったのでこちらに書きます。

私の経験から書きます。

一番役に立ったと思ってることは、簿記をけっこうやったことです。はじめから財務モデルとかを勉強するのに比べて、簿記がいいところは仕訳からPL、BS、CFをゼロから作り上げる訓練ができるからです。これでPL、BS、CFのどこが動くと、どこに影響が表れるかってところがわかるようになりました。遠回りなようですがぜひおすすめします。コツはただ簿記の参考書を眺めるのではなくて、問題集も買ってきて電卓と鉛筆を使って問題を解くといいと思います。ここまでくると、ROEとかの財務指標もいちいち暗記しなくても感覚的に使いこなせるようになると思います。


財務モデルの作り方は以外に勉強する材料がないと思います。私も探しましたが高いセミナーくらいしかないと思います。ビジネススクールでも教えてくれませんでした。ですので、投資銀行の友達とかに教えてもらいながら独学で勉強しました。コツはやはりできる人のExcelを見て自分で何度も作ってみることだと思います。参考になるかわかりませんが、ここからこのブログで紹介したsheetをダウンロードできます。




参考書をここにいろいろ上げておきましたが、これを読んだだけでは絶対にファイナンスができるようにもわかるようにもならないと思います。なんかしょーもないコメントになりますが、手を動かすのが一番近道です。


わからないところがあればまたお気になさらずコメントください。
by km_g | 2013-11-12 22:14 | ファイナンス

食べログ vs. ぐるなび

 グロービスVCの高宮さんが、食べログとぐるなびを例にして、マッチングビジネスについて記事を書いていた。

 マッチングビジネスは、ビジネスモデルとして考えやすくビジネススクール時代にもたくさんの人がいろんな分野でこのようなビジネスモデルを考えていた。それでいつも悩むのが、食べログ型かぐるなび型か。というところ。この記事によると、食べログ型の方がポテンシャルがあるとのこと。理由は、ユーザー側にたった方がメディアとして拡散しやすいこと、と店舗コンサル?のようなことをしなくて済む分収益性が上げやすいというところ。




※食べログのざくっとした推測方法:食べログは、上場企業であるカカクコムの一つのサービスであるので、単純に比較することは難しいです。カカクコム全体の時価総額4,683億円のうち、食べログが占める割合を、売上、UU、PVの視点で算出します。食べログは売上だと全体の18%で時価総額832億円、UUだと43%で2,026億円、PVだと50%で2,339億円となります。




それでちょっと気になったのは食べログの企業価値算出のところ。食べログは公表データが少ないためカカクコムの数値から算出している。売上、PV、UUの3種類の構成比を使って、時価総額を推定している。そうすると、いずれの数値を用いても、ぐるなびを大きく上回るとのこと。ぐるなびがPER20倍であるのに対して、食べログは売上40億円で1000億円以上の時価総額と算出している。利益率が高いことを考慮して、純利益率25%として、純利益10億円としても、PER100倍だ。これはフェイスブックのPERの同程度だ。

google PER:24.6 MC:292,623M円
Facebook PER:97.0 MC:122,715M円
amazon PER:346.5 MC:145,343M円
※2013.9.26 bloombergより

国内のIT企業のPER




そんなに、食べログって今後伸びるのかなぁ~
by km_g | 2013-09-27 12:35 | ファイナンス

電機 バリュエーション

 アベノミクス以降少し時間がたったのでバリュエーションを更新・追加。

日立がEBITDA倍率で見ると少し割安な感じ


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追加したのは、ROICとWACCと投下資本の関係。

ROIC = NOPAT / 投下資本
NOPAT = EBIT * (1-40%)
投下資本=固定資産 + (流動資産-現預金) - (流動負債 - 短期・一年以内返済有利子負債)

投下資本はその時点で実質どのくらいの資産を事業に費やしているか、を表す(現預金を差し引いてるのはそのため)。ROICがWACCを下回っているということは、資本コストを上回る利回りを上げていないということ。つまり、価値を毀損したということ。ROIC - WACCに投下資本を書けるとEVAとなる。EVAは株主資本コストも支払ったあとの利益を表す。

今回比較したメーカーを見ると概ねEVAはプラスである。が、三菱電機はWACCがやや高いためちょっとぎりぎりという感じ。WACCが高いのはデットが小さいから。

(左上グラフの円のサイズは投下資本)
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by km_g | 2013-08-18 09:56 | ファイナンス

グロービス・キャピタル・パートナーズのHPより。

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起業家と信念・情熱を共有する戦友であり、指南役たる存在
ベンチャーキャピタリスト十ニ訓

一、
優秀な人材のいる場所、時間、きっかけを探せ。
そこに何度でも通って、一人一人と、仕事ではなく、しっかりと友人になれ。
やがて自分自身が、人材の集まる場となる。



二、
人との出会いは、全てがファン作りの機会。
自身の持っている経験や知識を、相手の立場に立って惜しみ無く差し出せ。



三、
投資する会社を探すな、投資するテーマを探せ。
それから適切な経営チームを探せ。
無ければコンバートを試みるべし。
そこが腕の見せどころ。


四、
お金を売るな、自分を売れ。
経営者から、投資・経営参画してほしい、と先に言われて、初めて上等。


五、
ベンチャーは、不確実性の塊だ。
出来ない理由を語れる人は、数多くいる。
その時こそ、自身がビジョン、戦略、経営者を信じきれるか今一度反芻せよ。
究極のリアリストであり、ロマンチストであれ。
不安を感じるところから動き出す一歩に、あなたの進化が始まる。


六、
経営陣に対し、評論家然、投資家然とした態度で臨んではならない。
中長期を見据え、功を急がず、燦然と進むべき方向を指し示す北極星のごとき存在であれ。


七、
最先端の経営知が、日々ベンチャーが直面する課題とトライ&エラーの中で生まれている。
経営支援は、決して机上では学べない。
あなたは、数多くの優秀な経営陣とその最前線を共有し、ベストプラクティスのハブになれ。


八、
ベンチャーは、逆境の塊だ。だが、困難は進化の礎。
嵐にあってこそ、より迅速に動き、
泰然自若、笑顔を忘れるな。
それが、皆の勇気につながる。


九、
誰にでも、撤退すべき時は必ずある。
最悪なのは、ものごとにこだわりすぎ、致命傷になるまで深追いしてしまうことだ。
撤退する時は、全速力で。そしてその失敗を、必ず次の糧とせよ。


十、
経営者にとって、投資家の言葉は重く鋭き斧。
厳しきことを言う時こそ、一呼吸置き、相手の心相を汲む優しさを忘れるな。


十一、
Exitでは、天時・地利が不可欠である。それに備え、見極めよ。
ただし、遂行においての最重要は人和となる。
くれぐれも人事を尽くし、
ことあらば人の痛みを引き受けよ。


十二、
時を経て、一旦の成功を為し得た時、かつての夢見る若き起業家は、
先進の経営者に、新卒だった若者は頼もしいマネージャーとなっていることに、
あなたは気付き、そして共に喜びを分かちあうだろう。
その永かった道程に、あなたは真の報酬を見出だす。

by km_g | 2013-08-09 09:42 | ファイナンス

 


 メガバンクが国債保有額を減額するというニュースを最近見た。

三井住友フィナンシャルグループが29日に発表した2013年4~6月期連結決算は、最終利益が前年同期比2.4倍の2883億円となった。多額の株式売却益の計上で、中核の三井住友銀行の利益が3倍に増えた。国債の保有残高は3月末の20.7兆円から6月末には11.5兆円と9.2兆円減らした。


国債は4月4日の日銀の新たな金融緩和の発表前後に残高を圧縮したとみられる。国債の売買益は前年同期に比べ大幅に減る一方、前期から積み増していた上場投資信託(ETF)の一部を売却し、利益を確保した。


銀行はずっと国債を放出したかったと思う。借金大国日本の国債の価格が高く保てているのは、郵貯、日銀、そしてこのメガバンクが買い支えているからと言われている。結果市場原理が働きにくくなっていると思う。さらに、日銀の量的緩和によって金利上昇が懸念される、つまり国債価格の低下の圧力がさらに高まりつつある現状だ。

現在の国債発行残高は900兆円強。メガバンク三社の合計はおよそ100兆円(3月時点)だから、10%以上をこのメガバンク3社で保有していることになる。では、メガバンクにとって国債の価格低下はどれだけのインパクトがあるのか。

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各メガバンクはそれぞれ総資産の20%程度国債を保有している(3社だいたい同じ程度。なぜ?なんかルールがあるのかな?)。これが金利がプラス1%となったらどうなるか。

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金利と債権の価格は逆相関の関係にある。もし金利が1%から2%になったとすると、約10%国債価格が低下することを意味する。3月時点のままだとすると、それぞれが約3~5兆円の損失になる(各銀行の保有額×10%)。洒落にならない。今回の量的緩和はかなり嬉しかった、ベストの売りタイミングだったのではないだろうか。

ついでに、3社の株価の状況も見てみた。PERで見るとそれほど割安というわけではなさそうだ。しかし、この3社は区別がつかないほど似ているな・・・・

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by km_g | 2013-08-09 00:43 | ファイナンス

楽天がモルガン・スタンレーのアナリストのレポートを批判したことが話題になっていた。とりあえず内容を見ると以下の三点のようだ。


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(1) 当社グループではEC、オンライン旅行予約、金融事業等、収益構造が異なる多様な事業を運営しているにも関わらず、当該レポートで用いられている業績予想モデルは、コスト予想をグループ合算ベースでのみ行っているため、事業別の利益分析がほとんどなされておらず、分析が極めて浅い。


(2) 業績予想に用いられた法人税率の根拠が不明である。特殊要因が発生した 2012 年度の実効税率と同水準の 57%を 2013 年から 2015 年の実効税率に適用しているが、その根拠について全く説明されていない。


(3) 株主価値の算出方法がファイナンス理論の観点で誤っている。当該レポートでは、純利益に倍率を乗じた「修正時価総額」に「ノンオペレーティングアセット」を加算して時価総額を算出している。しかし、純利益は金利支払い後の数字であるにも関わらず、「ノンオペレーティングアセット」から借入金を控除している。



(3)がちょっと面白いので復習がてら考えてみる。この方法はPERマルチプルを使っている。純利益にPERを掛け算して算出されるのは株主価値の部分である。なぜなら、(3)に書かれているようにデット側に帰属する支払金利は既に差し引かれているからである。

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問題は非営業資産の部分をどうするか、である。非営業資産とは例えば現預金などのように事業に無関係な資産のことである。事業に関与していないのだから純利益には貢献していない(含まれていない)。このままの株主価値の値はこの非営業資産を無視してしまっている。これを債権者と投資家のどちら側に配分するか、ということが問題になる。債権者には金利分のみを支払うことが契約で決まっているので、それ以外をもらう権利はない。従ってこの非営業資産はすべて株主に帰属するので、前述で計算した結果にこの非営業資産を足し込む必要がある。しかし、このアナリストはこの非営業資産から有利子負債を差し引いて足し算してしまっている。金利分は既に差し引かれているのだから二重である。これが楽天の主張だ。全く正しいと思う。

MBAではこのレベルは普通に習うが、いつも議論となるのは、非営業資産と営業資産の区別である。例えば売却目的の有価証券は明らかに非営業資産だ。問題は現預金の部分だ。単純に考えると現預金は事業に無関係なように思える。しかし、収入は変動するし、震災のようなトラブルへの備えと言う考え方もある。講師によっては、事業の種類にも依るが1カ月分の売上は事業資産と含めるということも聞いた。実務的には現預金はすべて非営業資産とするようであるが。


ところで、今回の件でTwitter上はかなりの騒動となっていた。

・アナリストの良し悪しは市場で決まるべき。企業側がつっこむなんでおごりすぎ
・今回のアナリストのレポートの間違いは明らか。↑の意見も分かるがこのくらいはむしろ企業側は訂正すべき
・楽天の主張は正しいが、アナリストの個人攻撃はやりすぎ

個人的は、3点目に近いかな。よほど態度が悪いアナリストだったかもしれないが。

あと、今回の騒動で思い出したのが、サブプライム危機の時の格付け会社。格付け会社は企業側からカネをもらってるので悪い格付けをしにくい。それがサブプライムローンを多額に保有する会社の格付けを正しく評価することができなかったと。今回の騒動でアナリストがびびって企業側の都合の良い分析結果しか出さないようになっては困る。市場側と企業側は完全に独立しているべきだ。

トリプルA 小説 格付会社 上 (幻冬舎文庫)

黒木 亮 / 幻冬舎


by km_g | 2013-07-06 22:48 | ファイナンス