人気ブログランキング |

製造業が衰退した理由なりを考え続けて数か月。いまいち、ぴんときてなかったが、最近少し整理できてきた。

簡単に言うと、競争力の無意味かと韓国、台湾勢のコスト競争力の台頭のダブルパンチなのだと。日本の製造業の競争力は、広義の垂直統合(系列)によるすり合わせ技術、機能の高度化にあったと思う。これが無意味かした。基本的にハードの強化であったが、ハードだけでは市場の驚きはもはや難しい。要らないというわけではなくて、他のハードとの連携(全体最適)やソフト技術も使ったUI・使いやすさ、に価値の重みが移ってきた。製造業はそれらを軽視してきた。機能さえ良ければ、デザインで負けてても大丈夫。機能が負けていては他で頑張ってもダメ。こんな考え方が主流だ。やっとソフトとの連携と言われてきているが、少なくともハードを強化しないといけない、という考え方を捨てないかぎり難しいのではないか。

最近、グーグルやfacebookなどがハードと連携を強化している。これも簡単に言えば同じ、ハードとソフトの歩み寄りであるが、少し違う。彼らの競争力はソフト側の技術であり無意味化していない。彼らのハードとの融合は保有する競争力をさらに強化する意味があり、国内の製造業のソフトとの連携による自社の無意味化した競争力の補てんとはやはり違う。

もう一つはコスト競争力の欠如。価値側が劣化してきても、それを上回るコスト競争力が持てれば今ほどの衰退は防げたはずだ。なぜ韓国、台湾勢のコスト競争力が問題になってきてるのかというと、デジタル化とモジュール化による模倣容易性と教育の充実にあると思う。デジタル化によって、あらゆるもの(CADや加工装置)が数値化され模倣が簡単になってきたと思う。さらに、ハード価値の劣化に対応してコストを下げるために進んだモジュール化によっても模倣が容易になった。もう一つは教育の充実によって日本と韓国、台湾の技術者の基本的な技術力に差がなくなったことがあると思う。国内の技術者は、大学で基礎を学び、大手メーカーの新入社員として先輩から学んで技術力を蓄える。韓国、台湾が裕福になり、海外の大学に学べる機会が増え、技術力を蓄えることが可能となった。しかしながら、人件費で言えば、まだまだ日本よりも安く、同じ開発力を安い人件費で調達できるようになってしまった。

上の議論がまとを得ているとすると、「で、日本の製造業はどうすれば?」という問いに対して、選択と集中による経営資源の相対的拡大や、(ソフトを無視したままの)イノベーション、コスト構造改革だけでは解決しない。イギリスや米国は製造業をやめることで国を成長させてきた。しかしその本質は、台頭する日本にマネできないこと、をやったことだった。製造業でイノベーションを出す続けるという選択肢もなくはなかったはずなのに。

日本の製造業も、製造業をやめるしかないのか。それとも、米国やイギリスの製造業ができなかった、新しい製造業をつくれるだろうか。
by km_g | 2012-07-30 22:41 | MBA他

環境のパターン認識

パターン認識とは、ある画像がどの画像に似ているか、どのような特徴があるかを調べる作業のこと。顔認識とかはまさにその応用例。

学生時代にやっていた剣道でも同じ概念があった。「遠山の目付」である。これは、竹刀、目線、足元、呼吸、どれも大事だけど、どれかを見ているとどれかが見えなくなってしまう。竹刀ばかり見ていると、足元の動きを見逃し、いつの間にか間合いに入られてしまう。遠山の目付とは、相手を見るようで見ない、見ないようで見る、相手全体をぼんやりとらえると、異常に気が付きやすい、軽いフェイントにも引っかからないとうになる、ということである。

大学院でいろいろなケースを読むが、もちろん全て違うケースである。市場も違う、競合も違う、自社も違う。しかし、直面する課題というのはそれほど多くの種類はない。成長、コスト削減、イノベーション組織、などなど。最近、パターン認識と同じように、経営環境も大枠でとらえることができるようになってきた。まだ、3Cの目でしかとらえられないが、大体、またこの状況か。と思うことが多くなってきた。

戦略コンサルも、より複雑な現実の企業の経営環境をパターン認識でとらえてることだろう。自社のシェアが?%、商品の種類、競合の数、・・・すべてを見ていては時間がかかりすぎる、引っ張られてしまう。パターンとして全体で状況をなんとなくつかむと短時間で課題に到達できるだろう。そこから初期仮説が生まれるのだろう。

パターン認識の精度を上げるためには、様々なケースのパターンを理解することがまず先決。捉え方は様々。けども本質は外してはいけない。そして、編み出したパターンを引き出しにしまう。その繰返し。199?年の自動車市場の規模などどうでもいい。調べればいい。

パターンは複雑ではない。というか単純でなければ意味が無い。読んだ本、テレビ番組、仕事での経験、ケース。具体にとらわれず、パターン認識していかないとな。
by km_g | 2012-01-17 16:55 | MBA他

イノベーション組織とは

先日のコンサルの面接で、ある製造業のR&D組織において新規事業が現状の2倍出やすくなる組織戦略とは?というお題が出た。

■なぜ、新規事業?
うちの会社でもそうだが、いろんなところで新規事業という言葉を聞く。なぜ、いま、新規事業が求められているのだろうか。一番の理由は、成長だろう。今の事業はどれも停滞している。日本のマクロ景気の停滞に加えて、単なるものづくりだけでは価値につながりにくくなったことが原因だろう。


■ハードとソフトの両面から
私は、①新規事業を考える機会を増やす、②出たアイディアの打率を上げる、打率の高いアイディアを出す、③モチベーションアップ、という3つのアプローチをとる、と答えた。新規事業が出にくい理由が、考える機会の絶対量が少ない、アイディアのクオリティが低い、新規事業(新しいこと)は自分の資産価値を低くしてしまうから、ということにあると考えたからだった。最後のところは、例えば、有機材料屋の技術屋がもはや有機材料が衰退技術分野だとしても、有機材料と関係ない新規事業が市場的に魅力的だったとしてもその製品では自分が活躍できない、強みがいきないから、あまり考えたがらない、ということだ。

これらについて、打ち手を幾つかあげた。で、最後に面接担当者からのフィードバックは、仕組みとソフトで分けるともう少し広く考えられるね、ということだった。大学院のクラスで議論したところだったのに抜け落ちていた。

そういえば、組織の構成要素を考えるときに7Sというフレームワークが便利だった。

ソフトの4S
①Shared value (共通の価値観・理念)
②Style(経営スタイル・社風)
③Staff(人材)
④Skill(スキル・能力)

ハードの3S
⑤Strategy(戦略)
⑥Structure(組織構造)
⑦System(システム・制度)


■イノベーション組織
お題を言い換えるとイノベーション組織とは?ということだったと思う。。それをどうデザインするかということだった。「経営と技術」という本によると、以下の3つが重要だと。

①イノベーティブな社風の創造。報奨制度、経営スタイル、文化的要因が、イノベーティブな行動を奨励 し、イノベーティブな人材を会社に参加 させ、とどまらせる。
②チームワークの促進。開発スタッフはそれぞれの能力を出し合い、事業部や国の障壁を越えてシナジーを生み出すことができる。
③技術者 と非技術者の間の障壁 を取 り壊す。

なるほど、と思う。
by km_g | 2012-01-14 10:11 | MBA他

問題解決の流れ


1:課題設定(WHAT)
何を解決するのか、何が問題なのか。

2:現状理解、課題の分解(WHERE)
なぜ?というステップとごちゃごちゃになりがち。課題が「体の具合が悪いのを改善する」だとしたら、どこが、どのように具合が悪いのかを調べるステップ。ここが原因、仮説の精度につながる。

3:課題の絞り込み
課題が複数ある場合、優先順位を決める。緊急度、影響度などが判断軸か。

4:仮説構築と検証作業設計(WHY)
検証可能な仮説を構築する。検証可能であることがポイント。

5:重要分析の実施

6:打ち手の立案・評価・選択(HOW)

7:実施に向けてのコミュニケーション(DO)
by km_g | 2011-12-14 21:26 | MBA他

 戦略とは?と聞かれると迷う。低価格、差別化、スピードなどなど。しかし、どうすればスピードが上がるの?そして、更に重要なところは、なぜそれがあなたしかできないの?という模倣困難性。

 低価格戦略を実現できるのは、コスト優位性があるところ。一方高付加価値戦略。これを実現できるのは付加価値を付けられる技術力なり能力があるところ。では、その技術力なり能力はどうやって他社より身につけることができるか。それは、その能力により投資できるところ。では、より多く投資できるのは?それは、利益が多いところ。つまり、これもやっぱりコスト優位性があるところ。

 結局のところ、低価格化戦略にしろ、高付加価値戦略(差別化)にしろ、コスト優位性のあるところが、選択できるにすぎない。つまり、コスト優位性をいかに実現するか、が戦略の肝となる。

コスト優位性を築く方向性は大きく二つ。

(1) 累積経験量の差によるコスト優位
(2) 事業スケール差によるコスト優位

この他に、模倣困難性を築く方向性は、

(3) 小さな工夫の積み重ね等で一遍には模倣困難な事業システムによる複雑性優位
(4) 顧客からみた購買スイッチの経済的・心理的負荷の高さによるロイヤルティ優位


など。

この他に、特許もあると思うが、その良い特許を出し続けるためには?という観点ではやはり上記のどれかにあてはまる。
by km_g | 2011-12-11 16:28 | MBA他

電機業界の分析 

まず業界定義。家電(いわゆる白物、黒物)業界について考えよう。
答える問は、「日本の家電企業の経営者が今、一番考えないと行けないこと。つまり経営課題。」





課題といえば、3C・PESTで考える。

外部環境分析
PEST
political
・ここは大きな変化、影響はないかな

economy
・家電と景気は関係ありそう。日本の場合家電はすでに普及しており需要のメインは買い替え。景気が悪い現状では、壊れない限り新製品には手を出さない。新しい・高機能はこの点でやや不利か
・為替のボラティリティが高まっており、利益変動対策は課題となりそう。

Social
・家電の種類はあまり変わらなそう。テレビ、冷蔵庫を買わない家庭は少ないだろうし、この先も大きな変化はなさそう。
・省エネブーム。電気代は購買ポイントになるか?けどどれも省エネナンバーワンだし、あまり決定打にはならないかな?

Technology
・ここは日進月歩。Technologyは家電の価値を決める大きな要因。ただ、顧客の求める価値と機能の相関はやや弱くなってきているかな。画質はもう十分?とか。
・とても速い変化×高度化。

PESTの分析をまとめると、景気の悪化が業界に大きなマイナスをマクロでは与えそう。為替による利益変動は財務課題。技術の速い変化はリスク。


次に市場分析。規模と将来性。
・規模は十分にあり。
・量の将来性は、白物は世帯数に相関。人口減による長期的に減少傾向。
・さらにデフレによる金額規模の縮小は加速か。

家電業界の市場規模の推移


顧客分析(購買要因)
・機能自体の価値は頭打ち。
・高機能、低価格の二極化。
・成熟化に伴って、価値がデザイン、サービス、にシフト。


次に、業界構造分析。収益性が悪そうだが決定的要因を探る。
・新規参入の脅威は、少ない。理由は初期投資の大きさ。規模の経済効果の大きさ。
・市場成熟化・差別化の余地の低下、にも関わらずプレイヤー多数。ここは大きな影響ありそう。
・コスト競争力のあるアジア企業の台頭。
・量販店の規模化の結果、交渉力がかなり高くなっており、マイナス影響。

このあたりが収益性の悪化の原因かな。


まとめろと、
・国内市場の縮小は決定的。海外の新市場開拓は必須。
・一方で国内規模は十分。ほったらかしにするには惜しい。
・改善のポイントは、
①プレイヤー数の削減
②顧客価値のシフトに従って、商品開発の重点を基本機能の充実から、デザイン、サービスなどへシフト
②’開発体制、技術に対する意識(高機能=良い製品という意識)の変革は必須。
③とは言え、技術が競争のポイントであることは変わらない。考えなければいけないのは、技術変化の速さ。への対応。例えば、提携、オープンイノベーション、集中のバランスか。



という感じか。業界定義が緩いせいで分析が平凡となってしまった。せめて、白物と黒物は分けた方がよかったかな。。



そのあとにちょっと大きめにざっくり考えた。
バリュエーション
by km_g | 2011-10-28 00:29 | MBA他

事業分離と言えば、スピンオフ、事業売却などによって行われ、頻繁に行われる。良く大学院のクラスで聞く議論としては、「この事業はもはや衰退産業で続けることは正しくない。よって売却する。」と言ったものである。しかしながら、そのような衰退産業の事業を誰がどのくらいの額で買うのだろうか。ダメな事業であれば、安くでした売却することができず、そもそも、その事業価値がカネと交換するだけで、企業価値としては変化しないように思う。このように、事業分離で企業価値が向上するかどうかは自明ではない。この事業分離と企業価値の関係についてちょっと考える。

企業価値は、本来の企業価値と外から評価されている価値の二つの側面がある。全社はDCF法によって算出され、内在価値と呼ぶ。後者は、市場価値と呼ぶ。このっ二つの側面から考える。

まず、内在価値の向上の原因としては、よりシナジー効果の高い買い手に売却する場合である。これによって、自社で経営するより高い金額で売却できる可能性があり、その分企業価値が向上しうる。

第2に、負のシナジーの解消である。自社事業ポートフォリオ上投資の優先順位が低く、経営資源を十分に投下できない場合である。また、優秀な事業であり、どんどん投資すべきであるが、他の問題事業にその事業が稼いだカネを投資せざるを得ない状況の解消がありうる。事業分離によって、このような負のシナジーの解消が実現され企業価値が向上しうる。

次に、内在価値には影響しないが、市場価値の向上に寄与する場合がある。コングロマリットディスカウントの解消である。複数の事業を抱えるコングロマリット企業では、目立たない事業が過小評価されることが多い。利益のほとんど稼ぐ事業のPERが低いと、高い成長が期待されるにもかかわらず、目立つ低いPERの事業と一緒に評価されたりする。事業分離によって、それぞれの事業が正当に評価され、市場価値が正しく評価され、内在価値に近づく。

内在価値の向上であれば、売却、スピンオフ。市場価値であれば、カーブアウト、トラッキング・ストックなど、事業分離の目的を正確に理解した上で、打ち手を考える必要がある。



MBAのためのM&A

田村 俊夫 / 有斐閣


by km_g | 2011-10-15 09:51 | MBA他

5フォースモデル 

ビジネススクールでは頻繁に登場するフレームワーク。ただコンサルの現場ではあまり使われないとか。使われるとしても新規参入時の分析のために使うらしい。

それは置いといて、経営知識のない段階では業界全体をとらえる、業界全体の収益改善の糸口を探る、意味で役に立ったので面接前にもう一度復習。

■新規参入の脅威
ここがおそらく一番利便性が高い。
驚異の候補は5つ。
①規模の経済
コストに規模の経済効果が効く場合、新規参入者は不利になる。そもそも規模の経済効果とは、生産・販売量が増加するに従って単位あたりのコストが低下する現象を言う。しかしながら、線形ではなくある生産量を超えると飽和するのが一般的である。ということは、あるしきい値レベルの規模で一気に参入さえすれば、例えそれより多くの生産規模をもつ既存企業との差はほぼなくなるのである。従って、この意味での規模の経済効果による参入障壁効果は限定的である(しきい値レベルの生産が必要条件になるため大きな投資が必要となり、それ自体で参入障壁となりうる、という意見も多く聞く。しかしながら、投資のサイズそのものは問題でない。なぜなら、NPVがでるならば必ず調達できるはずだからである。)。ただ、業界が成熟期にある場合はこの効果は大きくなる。業界の既存企業が単位コストが最小になる生産規模を有していたとする。ここに新規参入するためには、しきい値以上の生産規模を有しての参入が必要である。しかしながら、そのような大きな生産量が追加されても、業界は成熟しているため価格下落を招いてしまい、だれも利益を得られない。従って新規参入は起こりにくい、となる。

規模の経済効果の他に、経験曲線効果という現象もある。これは累積生産量が増加するに従って単位コストが下がる現象である。これも参入障壁となりうる。これは、蒸気の規模の経済効果よりも高い参入障壁となるように思う。

②製品の差別化可能性
ブランド、顧客ロイヤルティが該当する。顧客に長く愛用されている、信用、など新規参入者はこれを覆すためにより多くのコストを負担する必要がある。

③規模と無関係なコスト優位
これは、時間に関係する。既存企業は新規企業よりも早く参入しており、長く製品を生産している。これによって、有利な資源へのアクセスなどのFMA(先行者優位)を得ている可能性がある。また、経験曲線効果の他に、ノウハウ、などの優位点となる。

④規制

(新規参入が有利な点)
新規参入が不利な点ばかり議論したが、有利な点もありそうだ。無駄研究の排除、ユーザーニーズを見誤るリスクの排除などがありそうだ。2番手戦略。

■競合の脅威
①多数の存在
②影響度が同程度
③業界の成長率が低い
この場合、プライヤーは新たなパイではなく競合のシェアを奪おうとし、競争が激しくなる。
④差別化が困難
⑤生産能力の増強単位が大きい
規模の経済が効く業界で特に影響度が高い。一気に供給過多となり易くそのたびに価格競争が発生しやすくなる。半導体業界はこれに該当するのか。

■代替品の脅威
技術変化、顧客ニーズのシフトによってこれは大きくなる。電子辞書、電子メール、ネット通販、など。

■供給者の脅威
①供給者が少数の業界で支配されている
②供給財が差別化されている
③垂直統合のおそれ
これは、新規参入の脅威と同じ議論。
④供給者にとって当該業界が重要顧客でない場合


■顧客の脅威
①顧客が少数
②差別化されていない
③顧客にとって当該業界の供給する財が大きなコスト比率を占める場合。
④顧客業界環境が厳しい場合
⑤後方垂直統合のおそれがある場合
by km_g | 2011-06-28 16:42 | MBA他

国際税務

■■二重価格
税率の高さの比較も重要だが、二重税率は避けなくてはいけない。二重課税が生じる例はいくつかある。

ひとつは、居住地国課税と源泉地国課税が競合する場合。片方は、居住者に対して課税し、もう片方は稼いだ場所に対して課税する。これで二重課税になりうる。

二つ目は、移転価格税制関連。そもそも移転価格税制とは、海外との子会社などとの内部取引を利用して、利益または損失を移動させ税率の低い国での利益を増す行為に関する法制度のこと。やりすぎると税務当局から追徴課税をうける。問題は、これが片方の国だけで発生するということである。利益を移動させられ少ない税金しか受け取れなかった国の税務当局が追徴課税を課したとしても、利益を移動させた側(それによって移動させなかった場合より多くの税金払った)から税金を返してもらった追徴課税分に割り当てることはできないのである。税処理は国間で無関係であるから。これによって、二重課税を課せられてしまい大きな損失となる可能性がこの移転価格問題には潜んでいる。

■■外国税額控除
参考:http://nomura-co.dreamblog.jp/blog/36.html
外国税額控除の目的は、国際的二重課税を解消し、企業の海外展開の妨げを解消することである。

例えば。
日本法人である企業が海外で100の課税所得を得たとする。源泉地国で法人税と源泉徴収税(配当、利子送金時にかかる税金)20%支払ったとすると、送金分は80。日本では、その80に対して税率40%の税金32を支払うと、手取りは48。やってられません。

そこで、海外で納めた20を日本で減税してあげましょう、ってのが外国税額控除。これで手取りは、60。ただし、この制度は当然ながら上限は日本の税率分の40。もし海外の税率が50%だとすると、日本国から10だけ持ち出しになってしまう。


みなし外国税額控除というものがある。これはタックススペアリングクレジットと呼ばれる。これは払っていない外国税額を払ったものとみなして日本での外国税額控除を適用できるという制度。上の例の20%の国と日本が租税条約(二重課税の排除や情報交換など)を結んでいたとする。そして、その国では発展途上国で投資を呼び込むために優遇税制を設けている場合を考える。

この場合、現地での100の利益に対しては税金がかからない(または少なくて済む)。送金を受けた日本では通常の40の税金を支払い手取り60。これで、その優遇税制のインセンティブがないものと等しい(優遇税制があろうがなかろうが手取り60だから)。ここのみなし税額控除制度の意味がある。優遇税制がなかった場合、その途上国では20の税金を払うことになっていた。今回これがなかったのだが、20納めたことのするのである。従って日本では、20だけ税金が免除され手取りが80となる。これで優遇税制の効果が残るのである。
by km_g | 2011-06-05 11:30 | MBA他

税効果会計 1

一時差異とは、税務会計と財務会計の認識の時期のズレである。この時期のずれというのがポイント。時期に関係ないずれは永久差異と呼ばれる。税公会計の対象となるのは、一時差異であり、永久差異は対象とならない。

税効果会計の方法には2種類ある。繰延法と資産負債法である。

繰延法は、PLに重きをおいた計算法で期間差異が生じた年度の税引き前利益と税金費用の対応を優先する。税率が変更された場合、変更があった年度にその都度対応するだけ。要は、単純に収益ベースでズレを計上しそのずれを資産計上する方法。税率が変更されたとしても、その差異が発生した年度は、修正されるが差異の解消年度には資産の額と、PLでの修正額が異なってしまう。

一方、資産負債法はBSに重きをおいた計算法で、一時差異が生じている期間全体(過去も含めて)に渡って、ズレを調整する方法。税率が変化した場合、繰延税金資産の資産性が変化してしまうので、税率が変更された年に資産の評価変えを行い。その結果として、税金費用と税引前利益の対応が崩れてしまう。

例を上げる。
まず繰延法。

売上100
費用①50
費用②30
税引き前利益20

とする。この年、費用②の30が損金不算入(一時差異)だったとする。
従って、課税所得は50となる。実効税率が40%だとすると、税金要納付額は20となる。
財務会計ルール(税引前利益の40%が税金費用である)では、税引前利益×40%=8が税金費用となるべきなので、12のズレが生じる。このズレを解消するのが税効果会計である。

繰延税金資産12/税金等調整額12

という仕訳を行う。12=ズレ額×税率40%。一時差異であるので将来この費用②30は税務上損金に認められる。その時は、税金を財務上の税金費用より少なくすることができる。つまり、この12は資産性がある、と考えることができる。

この年(差異発生年度)
売上高100
費用①50
費用②30
税引前利益20
法人税等20
法人税等調整額-12
法人税8
当期純利益12

なる。

(差異解消年度)では、
売上高100
費用①50
税引前利益50
であったとすると、税金費用は
50×40%20であるが、この年費用②30が損金に認められたとする。すると、課税所得は20となり、税金用納付額は8となる。損益計算書は、

売上高100
費用①50
税引前利益50
法人税等8
法人税等調整額 12
法人税等 20
当期純利益30

となる。

ここで、解消年度を前にして税率が30%に変更したとする。

繰延法の場合、特にすることはない。一時差異がその年度にも発生したならば、差異の額×30%で資産計上なりをすればよい。

しかし、資産負債法は異なる。資産計上されている繰延税金資産12は、将来の費用②30が認められた時、どのくらいの税金額が削減されるかは、その年の税率のよる。12は税率が40%だった場合の税金削減額であるから、30%になったならば費用②30は9の税金削減の効果しかない。つまり、繰延税金資産12はすでに12の資産性はなく9の資産性しかない。従ってこの3を評価損として、費用として計上する。これが資産負債法である。

逆に繰延法では、9の価値しかない繰延税金資産12がずっと計上されたままになってしまう。費用②30が解消され、9の資産繰戻しがあった場合、永久に3の繰延税金資産が残ってしまう。ただ、評価損はないため、PL上でよくわからん費用が突然計上されることはない。

世界の流れとして、資産負債法に流れている。日本は資産負債法である。IFRSはBS重視の会計方法である。今後はいろいろなところでBS重視になっていくだろう。これは、おそらく、不確実性が高まった結果、今、より将来を重視する傾向の表れでないかと思う。

最後に、キャッシュとしてはどちらの方法でも違いはない点は注意である。
by km_g | 2011-06-01 21:12 | MBA他