M&Aもいろいろ

 M&Aと言えば、株式買収のことを想像することがほとんどだが、それだけではない。M&Aは大きく考えると、経営権の移動を伴わないものと、経営権の移動を伴うものとに分けることができる。一般的なM&Aは経営権の移動を伴う方だろう。経営権の移転を伴うにしても、資産買収と株式買収の2種類がある。

クリックで拡大
 
e0194027_23392668.jpg


このように他力を利用する方法はたくさんある。ではどのように使い分けていったらいいのか。経営権の移動を伴うということは、当然ながら支配権の移動であるから、それだけプレミアムを支払う必要がある。一方経営権の移転を伴わない側は、低コストではあるが、意思決定に関して自社の意向を加味し難かったり、スピードの低下のリスクが考えられる。

このような多くの論点がある場合は、メリデメだけを考えるのではダメで、そもそも何が自社の問題なのか、何が重要なのか、といった重要思考、戦略思考を行い、その上で、何でこれらの手段を比較すべきかを決めてから考えないといけない。
by km_g | 2012-08-29 23:45 | ファイナンス

企業価値を上げるためには、業績の向上はもちろん必要なことだ。魅力的な市場で、事業の特性を理解し、自社の強みを活かす戦略を構築することが重要だ。

企業経営のサポーターとして投資銀行は特に重要だ。資本市場へのアクセス、事業売買などは投資銀行なしでは考えられない。日本は高度成長期に主要産業であった製造業は商業銀行から資本や、借入を調達して企業経営を行った。いわゆる間接金融だ。企業が直接金融にシフトし始めたのは歴史的に見れば最近のことだ。間接金融が主の時代、投資銀行はあまり活躍する機会がなかった。そのため、日本の投資銀行ビジネスは欧米に比べて遅れてしまっていた。

クリックで拡大
e0194027_20243471.jpg


上の図は投資銀行側から見た企業価値向上の手段の枠組みだ。とはいっても、経営者側からもこれらは重要だ。これらの手段は本来の業績向上よりも比較的容易に行える。これらを怠っていたり、余地を残しておくと、買収者の標的となってしまう(これらの手段による企業価値向上を目的とした買収者をフィナンシャルバイヤーと呼ぶ。一方、シナジー効果や基本的業績向上を目的とした買収者をストラテジックバイヤーと呼ぶ)。買収者にとっては多少のプレミアムを支払っても、それを上回る企業価値向上が簡単にできる手段があるのだからやらない手はない。

企業経営者は、投資銀行に依頼するかどうかは別として、基本的業績向上以外の方法も含め、あらゆる企業価値向上を模索することが重要だ。
by km_g | 2012-08-24 23:33 | ファイナンス

■プレミアムとシナジー効果 

企業買収時、買収側は市場株価よりも高い価格を提示する。その割合は、30%程度と言われている(買収プレミアム)。

e0194027_025199.jpg


このプレミアムを支払う理由はなんだろうか。一般投資家が市場から1株購入する場合は当然ながらプレミアムはゼロ、または十分に小さい。プレミアムの根拠は、支配権である。買収者は多数の株式を保有することで支配権を得る。この支配権の価格がプレミアムなのである。

買収者は高額な支配権を手に入れてどうするのだろうか。買収者は、支配権を獲得するために支払った額以上に価値を創造するのである。これがシナジー効果である。シナジー効果はゼロ以上ではなく、支払ったプレミアムを上回る必要がある(正確には、対価に現金か株式かでこれは異なる)。非常に大変な作業だ。

買収側の企業は、企業価値が毀損しないために、最低どのくらいのシナジー効果を創出する必要があるのかを把握しておく必要がある。だが、この最低限必要なシナジー額(=損益分岐シナジー)は、買収対価として、現金を用いるのか、株式を用いる(株式交換)のかで異なる。

現金の場合、プレミアムを上回るシナジー効果はすべて、買収側(の株主)が享受する。一方、株式交換の場合は、被買収側の株主側にもシナジー効果が分配されるので、買収側に分配されるシナジー効果は少なくなる。

逆に、シナジー効果を創出できなかった場合はどうだろうか。現金買収の場合はその毀損分がすべて買収側に分配されてしまう。一方、株式交換の場合は、その既存分が非買収側にも分配されてしまう。

このように、現金買収の場合はメリットもデメリットも買収側がすべて享受し、株式交換の場合は被買収側に分配されるのである。

ある企業を買収する場合、買い手が複数いる場合プレミアムが跳ね上がることがほとんどである。多くのプレミアムを支払うことができるのは、より多くのシナジー効果を創出できる企業である。しかし、プレミアムが跳ね上がった場合、それを上回るシナジー効果を創出するのは非常に困難である(買収合戦に勝利した企業が、必然的に損失を被ることを、勝者の呪い、と呼ぶ)。この場合、現金ではなく、なるべく株式交換比率を高めて、シナジー効果リスクをヘッジすることも大切だ。


■M&A時の鉄則

損益分岐シナジーを計算する場合、買い手と売り手にどのように利益が配分されるかを把握しておくことが大切だ。

買収後の企業全体の株式価値を、Vc
買い手企業の株式価値を、Vb
売り手企業の株式価値を、Vc

とすると、以下の式が成り立つ。

Vc = Vb + Vc + シナジー効果 - 支払に用いた現金

支払に用いた現金を差し引くのは、その分が企業側ではなく株主側に移転するからである。

一方、買収価格をPcとすると、プレミアムは下記のように表される。

プレミアム = Pc - Vc =売り手の利益

このプレミアムが売り手側の株主の利益となる。一方、買い手側の株主の利益は、

買い手の利益 = シナジー効果 - プレミアム

である。この2式しから、下記の「鉄則」が導かれる(プレミアムを消去)。

買い手の利益 + 売り手の利益 = シナジー効果

この式は非常に大切で、結局M&Aは、どれだけのシナジー効果が創出され、それを買い手と売り手でどう配分するか、である。


e0194027_0104723.jpg

e0194027_0105833.jpg

by km_g | 2012-08-21 00:53 | ファイナンス

Facebookやジンガの株価が低下しているようだ。バブルがしぼんだのかもしれないが、IPO株価が現在最大ってのはちょっと問題だと思う。損をしているのは、一般株主たちだ。これが続くと、IPO時は様子を見て、少し株価が下がってから、と思うようになってしまう。これでは、ベンチャー投資家のEXITとしてのIPOがうまくいかなくなってしまう。上場を担当する証券会社は、本来の企業価値、株主価値よりもやや低めの株価でIPOさせる。これは、お得感を出し売り切るためだ。しかし、現状は割安ではなく割高だったという状況だ。Facebookに至っては、最初の決算が赤字らしい。きちんとIRされていればよいが株価低下を見ると、少なくとも予想よりもまずい結果なのだろう。

 証券会社はインフラとしてのIPOをしっかりとマネージしてもらいたいものだ。

とか書いていたら、ソロスがFacebookの株を買っているようだ。絶対IPOの時は買ってないだろうな。
by km_g | 2012-08-17 00:30 | 起業

ラフティング@水上

夏らしい遊びをした。ラフティングというもので、ゴムボートに5,6人乗って激流の川を下る遊びだ。川の水は少し冷たかったけど、なかなか楽しかった。埼玉のなんとかってところでも一度やったことがあったけど、こっちの方が、インストラクターも面白くて楽しかった。ちなみにお店は、マックスというところ。

e0194027_23321030.jpg


夏の遊びだけでなく、秋、冬も何かしらで遊べるらしい。

昼飯は、向井理が立ち寄ったという焼きカレーを食べてきた。

カフェレストラン亜詩麻
by km_g | 2012-08-16 23:36 | 日常

財務モデルの練習

 財務モデルはファイナンスを学ぶ上で必須項目。Excelもある程度使えないといけない。本や教科書を見てもダメ。やっぱり自分で手を動かさないとダメ。

クリックで拡大
e0194027_23431017.png



改良版


Download Investment Calculator / Android
by km_g | 2012-08-06 23:41 | ファイナンス

「発言は全部拾う」?

今までやってきた事と違う内容がいつも見ているブログに書いてあった。


以下引用。

論点を外した発言を切り捨てることは誰でも出来る。発言者もこれはと思って発言している。しかし、直感的であったり、考察不足で外したように表面上は見える。しかし実はそうではない。発言者の真意に迫る解釈と質問を発することをファシリテーターができていないのだ。

まずは発言を全て広い活用をトコトン試みる。そしてまずは参加者意識を持たせる。ここがグッドファシリテーターへの道なんだろう。



今まで、議論の交通整理ということで、論点からはずれているなぁと思う発言はなるべくさわらないように、広げないようにファシリしてきた。それがイシューを押さ続ける、ことだと思って。けど、この内容を読んでちょっと違うかもな、と思った。確かに、今までのやり方はファシリのひとりよがりというか、メンバーを活かしていないものだったかなと思う。たぶんこれまでのやり方だとファシリが事前に準備、想定していた内容のせいぜい150%程度の議論にとどまる可能性が高い。一見イシューを外していると思われる発言も一度飲み込み、その論点をなんとか、構造化してみてホントに論点とはならないか、吟味する余裕があるべきだなと思う。その広がりが議論の質を200%以上にまで引き上げ、同時にメンバーの満足度も納得度もあげられるのかもしれないな。
by km_g | 2012-08-06 10:34 | 日常

7月の記事別PVランキング

1:マルチプル法              
2:APV法とWACC法          
3:ベンチャーキャピタルの企業価値評価方法  
4:戦略コンサル合格ゲット          
5:PERと期待成長率              
6:ファイナンスの基礎を学ぶ本      
7:これから戦略コンサルファームを目指す人へ  
8:APV法                  
9:傘の市場規模の推定           
10:電機業界の分析               

マルチプル法を検索する人は全体として多いと思う。自分もマルチプル法という簡単なバリュエーションの方法があると知ったがすぐには役に立つ本が見つけられなかった。マルチプル法のところはアップデートをして充実させていこう。

てか、傘の市場規模なんてたぶんコンサル面接向け以外考えられないな。今思うと問題としてつまらないしあまりいい例題とはいえないな。
by km_g | 2012-08-01 01:27 | 日常

東芝がWH株を手放す?

東芝がWHの株を手放すのでは?と言うニュースが飛び込んできた。



東芝は、2006年に破格と言われる値段でWHを買収した。今後原子力はエネルギー需要の中心となり、その中でより安全性の高いPWR型に強いWHがほしかったということだ。取得は全株式の77%。取得額は6600億円。時価総額8600億円程度になる計算だ。これは、競合した三菱重工側に比べて倍と言われていたようだ。つまり、相場は4000億円程度と言うことか。

さらに、震災後の2011年9月に残りの20%を追加取得した。金額は1250億円。時価総額全体で6250億円。つまり、最初の取得した時より27%安い。売る側としたら、8600億円×20%=1720億円で売ってもいいくらいだ。なぜなら、東芝自身がその額が妥当と判断したのだからだ。ではなぜ、安値でも売りたかったか。震災の影響もあるのか、原子力の将来性に不安を覚え、安くてもいいから今のうちに売ってしまいたい、と思ったのだろう。安いといっても、当時の妥当な水準であった4000億円×20%=800億円よりも高いし。

こんなことがあった上での今回のニュースだ。なぜ東芝はWH株を売却するのか。原子力は長期的に正しいと言う判断は間違っていないように思う。自分が正しいと思うなら、むしろ全株式を取得してもいいくらいだ。今売るのは完全に底値だ。ちなみに、7/15前後で東芝の株価に大きな変化はないようだ。この情報の信ぴょう性が疑われているのか?

それにしても49%って言う中途半端はなんとかならないのかな。意味がわからない。
by km_g | 2012-08-01 01:16 | ファイナンス