マネーはこう動く

マネーはこう動く―知識ゼロでわかる実践・経済学

藤巻 健史 / 光文社







■量的緩和関連

・マネタリーベースは、その名の通りマネーのベース。市中に出回っている紙幣・コインと日銀にある当座預金の合計、信用創造の元
・一方、マネーサプライとはマネタリーベースを基に信用創造によって増加した市中のマネー全体(銀行の預金=負債にあるの合計) 
・インフレ・デフレは貨幣的現象。おカネの量(マネーサプライ)が2倍になれば価格は2倍になる
・日銀が量的緩和で増やせるのはマネタリーベース。そこから実際にインフレになるかどうかは、どのくらいそれがマネーサプライに転化されるか、がポイント
・量的緩和とは、銀行が保有する国債を日銀が買い上げ、日銀にある当座預金の量を増やすこと
・当座預金は金利ゼロだから、そのまま当座預金においたままにしておくよりは貸付に回すだろう、ということが狙い
・ただし、それが実際に企業への貸出につながるかどうかは、資金需要(良い投資先)があるかどうか。ここがリフレが主張する大きな論点(需要がないから量的緩和してもインフレにならない。国債をまた、買うだけ。この本にもどうやって信用創造を機能復活させるかは書いてない!)
・量的緩和が行われれば、土地、株などの資産が高くなる(まず資産から高くなる?)
・企業は前提として、量的緩和前はリスクを怖がり貸付を行なっていない。しかし、土地のように担保性のある案件に対する貸付は比較的早めに実行に移される。だから土地の価格がまず上昇する(と、皆が思ってるから上昇する?)。さらに土地の値段を決めるDCF法は高めの価格でも正当化するのは簡単
・株も上がる。将来インフレになると思われれば、現状でまだ消費者物価は上昇していなくても先行指標である株価は上昇する。物価も上がり収益もあがるから。さらに借金の価値も相対的に減少する(名目収益が上がるから、名目借金額はそのまま)。
・株とか土地の価格が上昇することで資産効果によって実体経済に波及する。日本のバブルは消費者物価ではなく資産物価が高騰し、資産効果で景気上昇した



■長期金利関連


・インフレ=景気良いではない。実際バブル期はインフレではなかった。インフレは好景気の十分条件
・特に日本政府はインフレにしようとする圧力が働くはず(長期的にはいずれ、がそれが怖い)。巨額な財政赤字を実質的に減らす有効な方法がインフレ起こす(カネの価値を下げる)
・財政政策には普通は、国債が増加し価格が低下=金利上昇になり、国債がじゃぶじゃぶ発行できなくなるという健全なブレーキがかかる。しかし、日銀や銀行が(長期)国債を多く買ったがためにそれが働かなかった、それで日本は巨額の財政赤字になることができた
・日銀はいいとして、なぜ銀行までも国債をどんどん買ったか。それはイールドカーブが寝たから。日銀が長期金利を下げたせい?(普通日銀がコントロールできるのはあくまで短期金利、長期金利市場では日銀でもいちプレイヤーにすぎず、コントロールできないとも書いてある。)でイールドカーブが寝てしまった。だから銀行が短期で借りて長期国債で運用するというスキームによる利ざやが小さくなった。だから量にいった。長期金利がさらに低下。だから長期国債がたくさん消費できた。これが日本の財政赤字が多く積み上げられた要因の一つ(本には買いてないが。たぶん郵貯も)
・一般的には、短期金利は日銀が決め、長期金利はマーケットが決める。日本は長期金利も日銀が(国債購入によって)決めている。つまり歪が溜まっている。
・量的緩和→インフレ(金利は上昇するが)→財政債務解消の流れが可能だったが、巨額の債務のため少々の金利上昇でも耐えられなくなってしまっている。1000兆円×1%=10兆円金利コストアップ。税収は40兆円程度。バブル期でも60兆円だった。
・名目長期金利=期待インフレ率+実質金利+リスクプレミアム


■為替関連

・国内景気が悪い時は円安がよい。円安によって、企業は海外で強くなる。それによって企業業績が上昇し景気が良くなる(給与とか?雇用とか?)、政府は、金融、財政の他にこの為替政策を積極利用した方が良い
・一方景気が過熱しているときは円高のほうが良い。好景気時のインフレ(国内物価上昇)が輸入品価格の低下によって抑制効果が働くから
・為替は長期的には国力に依存する(魅力的な投資先、消費先かどうか)。しかし短期的には金利差、需給など様々な要因できまる。短期的には予想は難しい。
・ではどこまで円安が続くのかはよくわからない。金利差がなくなるまで円安になる?国力が弱い限り円安進む?
・金利差があるとドルの先物が安く買える(オプション理論?)。ドルの先物を売る人は将来のドル売りのために直物のドルを購入する(しておく?)だからドルが高くなる(円安になる)
・為替政策の中身は、為替介入。しかし、為替のマーケットは非常に大きく政府でも普通の一プレイヤー(黒田総裁の異次元の為替介入は異次元)。
・各国が通貨安誘導を行ういわゆる通貨安競争は起きにくい。なぜなら、多くの国は他国通貨で借金しており、そのような国は実質借金が大きくなるので過剰な通貨安はできない。あと実態景気より安くすれば(金利差の話より、金利を下げる)とバブルが発生してしまうから
・日本の問題は、財政赤字、少子化、グローバル化対応の三つ。
・少子化の具体的問題は、年金、社会保障費の部分と労働人口の不足。
・だが、労働力不足は実際小さいのでは。理由は労働需要(高コストの人材?ビジネスに人が要らなくなるから?)が減るから。
・グローバル化は、雇用がグローバル化つまり中国に工場が移転するとかいう話。しかし、それはしょうがないのでは。日本の雇用を吸収できるのは、製造業ではなく金融、IT、医療、教育などではないか(そこに日本が競争力があるかってのは少しだけ疑問。まぁ重要なのは日本は今後何で食べていくのか、と言う話)。
・やはりものづくりで行くというのなら、かなりの円安政策が必要。


■不明論点
・通貨は金利差で決まる。長期的に長期金利は上昇する、ということは長期的には円高?それとも国力、財政赤字のため円は安いまま?
・量的緩和だけでインフレは起こせない?量的緩和→(強引に長期も)金利低下→通貨安→企業業績上昇→資金需要増加→信用創造→インフレというメカニズムでOK?でもインフレになったら金利上がる?
・景気が良いとインフレになりがち。逆は真?インフレにしたら景気は良くなる?「インフレを起こそう」って掛け声はちょっと疑問。前にマネックスの松本氏のブログにあったようにインフレ→値段がアップ→早く買わないと!→需要大→景気大ってこと?


■アベノミクスについて

ここまでダラダラ書いたが、今のアベノミクスについて考えると
・結論は、第1、第3はOK。第2は×

・大胆な金融緩和(日銀の大量量的緩和、マネタリーベースの増加)政策の狙いは、通貨量大によるインフレと円安。しかし、信用創造の部分が機能しないとダメ。それが第2、第3の矢。気持ちはわかる。しかし第2はちょっとあやしい。
・現在の株高は通貨安によって企業業績がどれほど回復するか、にかかっている。来期業績を注視する必要あり
・財務省の為替介入も効果が小さいと言っても、金融政策と合わせてやるのであればやってもいいのでは?
・財政政策(新たな追加的国債発行して)は大丈夫なのか。これ以上借金を増やすのはまずいのでは。
・さらに財政赤字悪化による(リスクプレミアム)金利上昇→さらに財政悪化となり第一の矢の効果を相殺することにならないか
by km_g | 2013-06-10 00:30 |