電機 バリュエーション

 アベノミクス以降少し時間がたったのでバリュエーションを更新・追加。

日立がEBITDA倍率で見ると少し割安な感じ


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追加したのは、ROICとWACCと投下資本の関係。

ROIC = NOPAT / 投下資本
NOPAT = EBIT * (1-40%)
投下資本=固定資産 + (流動資産-現預金) - (流動負債 - 短期・一年以内返済有利子負債)

投下資本はその時点で実質どのくらいの資産を事業に費やしているか、を表す(現預金を差し引いてるのはそのため)。ROICがWACCを下回っているということは、資本コストを上回る利回りを上げていないということ。つまり、価値を毀損したということ。ROIC - WACCに投下資本を書けるとEVAとなる。EVAは株主資本コストも支払ったあとの利益を表す。

今回比較したメーカーを見ると概ねEVAはプラスである。が、三菱電機はWACCがやや高いためちょっとぎりぎりという感じ。WACCが高いのはデットが小さいから。

(左上グラフの円のサイズは投下資本)
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by km_g | 2013-08-18 09:56 | ファイナンス

企業再生プロフェッショナル (日経ビジネス人文庫)

日本経済新聞出版社



アリックスパートナーズという再生ファンドの方が書いた本。


企業再生の流れを物語風に勉強出来る本。やや深みにかけるところもあるけど企業再生の流れを理解するにはとても良い本。ブックオフでダメ元で100円で買ったがもうけもんだった。

・ターンアラウンドマネージャーは事業会社とプロフェッショナルの両方のキャリアが必要
・企業再生の三位一体・・・・・財務の再構築、事業の再構築、経営システムの再構築
・再生の対象企業・・・・・予防型、バリューアップ型、再建
・経営不振企業の原因・・・・過剰投資、社歴の長い企業が環境変化についていけず
・経営不振企業の特徴・・・・見栄っ張り症候群(立派なオフィス、高い人件費)、青い鳥症候群(新規事業投資)、ゆでがえる症候群、他人のせい症候群
・現状診断の手法・・・・経営幹部へのヒアリング(拠って立つ立場を理解)、財務はキャッシュフロー重視、競合とのベンチ(どこが悪いかわかりやすい)
・ファンド投資判断時に使うバリュエーション方法にDCF法も使う(EBITDA倍率など複数方法使う)
・工場はフェンス沿いにまわれ・・・・DDするときなど、工場をよく見せようとして在庫などを隠してる可能性
・サプライヤーからの材料、部品の不良を工場で止めても遅い。サプライヤー出荷前で止めるように
・一つ一つの打ち手をコストベネフィット分析
・粉飾の調査手法
1:社内規程に基づくあるべき業務の流れの確認(粉飾の余地がどこにどのくらいあるか)
2:営業、経理、倉庫の担当者および管理者のインタビューによる実際の業務の流れの検証
3:商品の実在性、出荷状況の確認
4:会社の持つカルチャー、人事評価制度の分析(インセンティブ設計)
5:粉飾の入り込む余地の確認
6:見落としがないかについての最終確認

・一般的にまず私的整理を試みて債権者との調整がうまくいかない場合に法的整理をとる。理由は信用が維持しやすく、また短期解決になるため(法的整理は一律に債権がカットされるため)。
・民事再生法と会社更生法の選択は、経営者の扱いと削減対象の債権をどこまでにするかで決める
・民事再生法の場合は、経営者留任・無担保一般債権のカットだけなど(債権カットの範囲が浅い)。
・会社更生法の場合は、担保権もフリーズされる

本書で紹介されている再建計画の例
上場廃止、法的整理
①銀行による債権一部放棄とリスケ
②一般債権者の債権一部カット
③子会社売却
④生産体制の見直し
⑤人員削減と販管費の削減
⑥経営責任の明確化(社長退任)
⑦株主責任の明確化(社長保有株、上場廃止前に出資していたファンドの50%保有株償却)
by km_g | 2013-08-15 15:53 |

グロービス・キャピタル・パートナーズのHPより。

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起業家と信念・情熱を共有する戦友であり、指南役たる存在
ベンチャーキャピタリスト十ニ訓

一、
優秀な人材のいる場所、時間、きっかけを探せ。
そこに何度でも通って、一人一人と、仕事ではなく、しっかりと友人になれ。
やがて自分自身が、人材の集まる場となる。



二、
人との出会いは、全てがファン作りの機会。
自身の持っている経験や知識を、相手の立場に立って惜しみ無く差し出せ。



三、
投資する会社を探すな、投資するテーマを探せ。
それから適切な経営チームを探せ。
無ければコンバートを試みるべし。
そこが腕の見せどころ。


四、
お金を売るな、自分を売れ。
経営者から、投資・経営参画してほしい、と先に言われて、初めて上等。


五、
ベンチャーは、不確実性の塊だ。
出来ない理由を語れる人は、数多くいる。
その時こそ、自身がビジョン、戦略、経営者を信じきれるか今一度反芻せよ。
究極のリアリストであり、ロマンチストであれ。
不安を感じるところから動き出す一歩に、あなたの進化が始まる。


六、
経営陣に対し、評論家然、投資家然とした態度で臨んではならない。
中長期を見据え、功を急がず、燦然と進むべき方向を指し示す北極星のごとき存在であれ。


七、
最先端の経営知が、日々ベンチャーが直面する課題とトライ&エラーの中で生まれている。
経営支援は、決して机上では学べない。
あなたは、数多くの優秀な経営陣とその最前線を共有し、ベストプラクティスのハブになれ。


八、
ベンチャーは、逆境の塊だ。だが、困難は進化の礎。
嵐にあってこそ、より迅速に動き、
泰然自若、笑顔を忘れるな。
それが、皆の勇気につながる。


九、
誰にでも、撤退すべき時は必ずある。
最悪なのは、ものごとにこだわりすぎ、致命傷になるまで深追いしてしまうことだ。
撤退する時は、全速力で。そしてその失敗を、必ず次の糧とせよ。


十、
経営者にとって、投資家の言葉は重く鋭き斧。
厳しきことを言う時こそ、一呼吸置き、相手の心相を汲む優しさを忘れるな。


十一、
Exitでは、天時・地利が不可欠である。それに備え、見極めよ。
ただし、遂行においての最重要は人和となる。
くれぐれも人事を尽くし、
ことあらば人の痛みを引き受けよ。


十二、
時を経て、一旦の成功を為し得た時、かつての夢見る若き起業家は、
先進の経営者に、新卒だった若者は頼もしいマネージャーとなっていることに、
あなたは気付き、そして共に喜びを分かちあうだろう。
その永かった道程に、あなたは真の報酬を見出だす。

by km_g | 2013-08-09 09:42 | ファイナンス

 


 メガバンクが国債保有額を減額するというニュースを最近見た。

三井住友フィナンシャルグループが29日に発表した2013年4~6月期連結決算は、最終利益が前年同期比2.4倍の2883億円となった。多額の株式売却益の計上で、中核の三井住友銀行の利益が3倍に増えた。国債の保有残高は3月末の20.7兆円から6月末には11.5兆円と9.2兆円減らした。


国債は4月4日の日銀の新たな金融緩和の発表前後に残高を圧縮したとみられる。国債の売買益は前年同期に比べ大幅に減る一方、前期から積み増していた上場投資信託(ETF)の一部を売却し、利益を確保した。


銀行はずっと国債を放出したかったと思う。借金大国日本の国債の価格が高く保てているのは、郵貯、日銀、そしてこのメガバンクが買い支えているからと言われている。結果市場原理が働きにくくなっていると思う。さらに、日銀の量的緩和によって金利上昇が懸念される、つまり国債価格の低下の圧力がさらに高まりつつある現状だ。

現在の国債発行残高は900兆円強。メガバンク三社の合計はおよそ100兆円(3月時点)だから、10%以上をこのメガバンク3社で保有していることになる。では、メガバンクにとって国債の価格低下はどれだけのインパクトがあるのか。

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各メガバンクはそれぞれ総資産の20%程度国債を保有している(3社だいたい同じ程度。なぜ?なんかルールがあるのかな?)。これが金利がプラス1%となったらどうなるか。

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金利と債権の価格は逆相関の関係にある。もし金利が1%から2%になったとすると、約10%国債価格が低下することを意味する。3月時点のままだとすると、それぞれが約3~5兆円の損失になる(各銀行の保有額×10%)。洒落にならない。今回の量的緩和はかなり嬉しかった、ベストの売りタイミングだったのではないだろうか。

ついでに、3社の株価の状況も見てみた。PERで見るとそれほど割安というわけではなさそうだ。しかし、この3社は区別がつかないほど似ているな・・・・

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by km_g | 2013-08-09 00:43 | ファイナンス