「重い」ベンチャー

国内のベンチャー投資額が大幅に増えたとのことだ。何が背景だろうか。アベノミクスだろうか。投資分野はITだけかと思いきや、バイオも結構ある。すばらしい。個人的にはこのようなテクノロジーをベースとした企業がどんどん出てきてほしい。




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そんなことを考えていたら、経済産業省で「ベンチャー有識者会議」というけっこうイケてるメンバーの会を見つけた。経営競争基盤の冨山和彦、WILの伊佐山さん、南場さん、孫泰蔵さん、グロービスの堀さん、とそうそうたるメンバーだ。その中の冨山和彦さんのプレゼン資料がとても勉強になった。特にベンチャーの分野を、資本集約度と知識集約度のマトリックスでわけるマトリックスが勉強になった。例えば、IT、分野は資本集約はないが、知識集約という具合。冨山和彦さんの主張としては、知識集約×資本集約の分野が足りないということだ。

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このカテゴリーの特徴は、

・一単位あたりの投資額が大きい
・一般資本市場の論理では投資できない
・基礎研究は企業では無理。NTTなども民営化されてしまった。
・ここは国が頑張らないと
・公的資金から営利資金のマネジメント



ということだ。確かに、企業から基礎研究はどんどん削減されている。海外企業の場合は資本市場の影響だろうが、国内企業の場合はメイン事業の不振だろう。いずれにせよ、企業では基礎研究はできない状態だ。米国は大学、国の研究所がこの役を担っている。日本でもできるかもしれないが、事業化までのつなぎ手が全く不在であることが一番の問題だ。ホリエモンも自分で研究所を作りたいと行っていたし、原丈人さんも長く大きなお金の市場が必要だ、と言っていた。

このような分野、日本が勝つチャンスがまだあると思う。IT分野は確かにどんどんベンチャーは出てくるだろうが、プラットフォーマーにならない限り小粒のままだと思う。その点この分野は、技術の積み重ねが競争優位性につながるし、日本企業が苦手なスピードもIT分野よりは問題にならないだろう。

大企業と研究所のつなぎ手。ここは面白そうだ。







・日本は金があるが小さく散らばっている。ある程度集約するメカニズムが必要。GPIFなど。
・プログラムマネージャーと呼ばれる人材=間を繋ぐ人が必要
 -発明案件を、ブラックボック化、特許化の仕分け
 -公的資金と営利資金の仕分け
・コーポレートVCは上場企業のリスクポロファイルに見合うかどうか注意
・EXIT先としてM&Aは重要だが、受け入れ先としての大企業がベンチャーとうまく付き合えるか。意思決定など。
・ベンチャー育成は大企業改革と表裏一体






by km_g | 2014-02-20 00:36 | 日常

アイディア出し




会社で新規事業や新製品のアイディア出しをする機会が増えた。国内既存事業の成熟化とアジア起業の台頭が背景にあるのだろう。

自分でも考えたし、ほかの人が考えているところも見てきた。がどうもうまくいかない。そのほとんどがどっかで聞いたことがあるような平凡なものだったり、深堀があまかったりするものだった。

なぜか。どうすればうまくいくのだろうか。技術部門を想定して。
まぁ、イノベーションということだろうか。今回は、より早い段階のアイディア出しのところにフォーカスして考えてみる。




  • 時間をかける

みんな、新しいアイディアを考えるのは本業の隙間時間だったりして、絶対的に時間をかけていないことが多い。1~2時間考えて良いアイディアが出てくる可能性は低いだろう。本業をストップさせてでも、強制的に時間をつくる必要がある。グーグル、3Mのx%ルールはこれだと思う。



  • やる気と知識

技術者は専門性が確立されており、自分の分野については非常に詳しい。しかし、逆を言うと違う分野に関しては知識が乏しい。新しいアイディアを考えるときに、自分、同部門の同僚が持っていない知識が必要になることがほとんどではないか。この不足する知識を担保するために、ネット、本、外部調査などを利用する。これだけだとたいてい平凡な、良く聞く、深堀があまいアイデイアが出てくる。エコエネルギーとか、バイオとか。理由は知識がそれでは足りないからだ。良いアイディアを生み出すためには、深い知識×多様性が必要だ。しかし、どんな知識が必要か、はアイディアが出てからでしかわからないし、知識がない段階では良いアイディアはそもそも出てこない。対策として、初期段階でチームに知識の多様性を担保した方がよいのではないか。複数の部門に権限を行使できる偉い人が、複数の無関係な部門(よこ、たて)の人を混ぜてディスカッションなりをしたら良いのではない。

偉い人、と書いたが要は、他部門を巻き込む調整役が必要だ。そのためには、信頼関係は当然として、言語がわかる人でなくてはいけない。言語とは価値観も含めてコミュケーションするということだ。特に技術と営業はケンカになることが多い。営業は安くて良いものを早くほしいし、それをそのまま技術に伝えてしまう。そうすると技術屋は、簡単に言うな、となる。なので、安いもの、と言うということだけでも、コストアップするポイントがなんとなくとも分かる必要があるし、それによって悪い影響をうけるポイント、人も理解する必要ある。普通に営業しかわからない人にとっては難しい。では、営業が技術をわかるようになるか、技術が営業をわかるようになるか、だが、後者が良いと思う。技術を理解するのはやはり難しいと思う。(もちろん、業種、戦略によるが、ここでは技術系企業、業種を前提)


知識のほかに必要と思うのは、やる気、だと思う。インセンティブによるやる気ということではなく、簡単に言うと楽しく考えるということだ。良く会議室で良いアイディアが出ないというのは、ここだと思う。楽しく考えるためには、会議ならばムードメーカーや、ファシリテーターが大事になるし、飲み会もどんどんやっても良いと思う。会議中にお菓子を置くってのも、いいかもしれない。



  • 新しいことを考えた人にインセンティブ、うながす仕組み

評価制度が、新しいことを考えた人が報われる設計になっていない事が多い。現状では評価されるのは、目に見えた成果を出した人だ。こうなると短期的、確実性が高い仕事をするようになる。新しいことをしようと思うとしばらくは、アイディアだけだったり、調査段階だったり、基礎データをとるための準備をしたり、となる。こうなると、現状の評価制度では報われない。ここを変える必要がある。
あとは、事業部や営業側の人が新しいアイディアを吸い上げる側にもインセンティブがあると良い。3Mは、20%ルール?15%ルールがあることで有名だ。これは、ひとつめの「時間をかける」という意味で意味があると思う。しかし、もう一つ大切な仕組みとして、割合は忘れたが、その年の売上の何割かは新し目の事業で占めなければいけない、というのがある。これがあることで、事業部側は新しいアイディア、製品を欲している状態になる。これがないと、リスクを犯してまで新しい製品に投資はせず、既存事業が本当にダメになってからやっと意思決定となってしまう。これでは遅い。新規は時間がかかるのだから。


  • まずシーズ!次にニーズ
世の中は、顧客のニーズを!という声だらけだ。それで、新しいことを考える時、世の中のニーズを端から端まで調べ出す人がいる。そんなことしたらきりがないし、ニーズを絞れたとしても、自分の技術が最適な解決策に繋がるとは限らない。自分の技術をゴリ押ししてよくわからない製品アイディアが出るだけだ。なので、ニーズは意識しなければいけないが、まずは忘れて自分のシーズを再定義することが大切だ。よくいう話だが、自分が当たり前にやってることがほかのヒト、分野から見るとすごいことがよくある。まずはシーズ!


  • 具体的に考える 一度決めてみる
調べたり、考えたりしているとアイディアが全く出ないわけではなくて、ありすぎてどれがいいのかわからない、と言う状況がよくある。その時は、一度何かをやると決めると良い。そうすると、情報の量と質がいっきにあがる。例えば、毎日の通勤経路は何も考えなければ毎日同じだが、例えばラーメン屋をやると決めると、どこに、何味の、営業時間がどのくらい、など気になってくる。それと同じで、何かとりあえず、アイディアをエイヤで決めてから、調べにかかると意思決定がしやすくなる。









by km_g | 2014-02-15 23:57 | 日常

ソニーのVAIO売却



ソニーがPC事業をPEファンドに売却検討とのことだ。やっとか、という印象。もう少し前であれば、IBMのように事業会社に売却できただろうに、完全に経営ミスだよ思う。実際、PC事業部はこれから何をするのだろうか。まずは、人件費の削減だろう。ソニーではなくなるので、新しく給料を設定しやすくなるのかもしれない。その他に何をするのか。日本産業パートナーズは新しい経営者を呼んでくるのだろうか。天下のソニーに入社した社員はモチベーションを保てるだろうか。

ソニーに限らず、他のメーカーはいわゆるすりあわせが得意と言われている。すりあわせとは、様々な部品などを特定の機種、製品ごとに最適化することだ。そうすることで、機能的品質は最大化される。しかし、コスト増加、管理の煩雑さを招く。機能的品質はどんどん顧客にとって価値を見出しにくくなっている中で、コスト増はさらに目立ってきたし、管理の煩雑さは規模化、グローバル化の弊害だ。

では、どうするか。これについては散々いろいろ言われてきている。顧客ニーズを見ろ、新興国、グローバル化、ハードとソフトなどなど。それらのオプションは今のままでできるだろうか。そしてそれで勝てるのだろうか。アップルにサムスンにグーグルに、台湾企業に勝てるのだろうか。

この本によると、キーワードは標準化と繋ぐ化ということだ。標準化はコスト削減、経営の簡素化(=グローバル化)に効くし、つなぐ化はシーズとニーズのつなぐ化し、顧客ニーズにあった製品、サービスをつくるということだ。

さぁ標準化だ、というと2つの壁がある。一つは担当技術者の存在意義の消滅ともう一つは単純な標準化だけでは勝てないということだ。今、どんでもない機能てんこ盛りの製品がなぜ出来てしまっているかというと、開発段階だけで考えると、各技術者が頑張っているからだ。各技術者とは、軽くする人、ノイズを下げる人、安定化する人、それぞれの技術者が頑張っているのだ。0.1を0.05にすることで、それが成果となり、出世できると思っているしまだそういう評価制度のままになってしまっている。マネージメントは少しこの機能はいらないかも、と思っても長年貢献してきた主みたいな技術者の成果をいらないとは言い難い。また、軽くする人が軽くすること以外のことを今からやれと言われても、これだけ各技術分野が(無駄に)高度化し、専門化されたなかではシフトしにくい。

もう一つは、何を標準化するかだ。標準化の目的はコスト削減、開発スピードアップなどであろうが、果たしてそれで海外企業に勝てるか、だ。たぶんコスト面では勝てないだろう。問いは、何を標準化し、何をすりあわせのままにしておくかだ。各バリューチェーンごとの見極めのためには、非常に高度な見える化が必要になってくる。これが難しい。まず、リソースがない。だれが標準化をやるのか。できるのか。長年高度に専門化を進めた結果、技術者でさえ他の技術分野を把握することは困難になってきている。外部コンサル、マネージャー層にこれができるか。では、担当技術者自身がやるかというと、多品種対応と低リソースで非常に忙しく疲労している。その中で、さらに余計なしかも、技術以外のことをやれと言われてもなかなか進まないだろう。


二点目はつなぐ化だ。今はつながっていないのか。というと先に書いたように機能てんこ盛りになっている時点で真につながってはいない。ではどうするか。これはマーケットinとプロダクトアウトの考え方が必要だ。まずはマーケットin側。マーケットインとは、顧客の望んでいるものをつくるという考え方だ。問題は顧客の望んでいるものが開発側に伝わっていないということだ。アップルのジョブズのように全体を見れる人がいれば、マーケットインだろうがプロダクトアウトだろうが、この問題はおこらないだろうが、それはどの企業でもできるわけではない。問題はリーダーシップだ。何かを決める(機能、製品の取捨選択)ということは、捨てるということだ。これができない。だからVAIOも今までやってきた。(長期的に、本質的にはここを変えないとダメだと思うが)。

残るは現場そうでどうそれを担保するかだ。技術とマーケティングがそれぞれ擦り寄るということだ。今現状は、まず距離が遠い。技術系は少し田舎に建屋があるが、マーケティング機能は都会の本社にあることが多い。もう一つは言語の壁だ。市場の要求を(かっこいいとか手触りとか)を製品仕様、技術仕様に落とし込まないといけない。この上流下流で言語が違う。だから、マーケティングがほっしてるものと違う製品ができてしまう。技術系の企業の場合は、これを技術系の人材が繋ぐ役割を担わないといけない。なぜかというと、技術の深いところはもはやビジネス側の人材では入っていけないからだ。このような人材をなんとか育成する必要がある。

次はプロダクトアウト。プロダクトアウトとは今あるシーズをいかに顧客の望むであろう製品に仕上げるかということだ。多くのメーカーは基礎的な研究所を持っている。ここが特に孤立している。顧客からの孤立と他技術との孤立だ。今までどおりすごく軽くする技術を磨いてきたがこれからはいらないと言われる。そうするとその研究者はその技術を捨てるのではなくヨコ展開を考えようとする。しかし、顧客ニーズなどしらない、わからないので安易な製品しか思いつかない。さらに、部門間の隔たりもありもしかしたら部署AとBが力を合わせれば良い製品ができるかもしれないのに、部署Aだけでなんとかしようと考える。当然行き詰まる。ニーズに近づくために事業部の短期的開発ニーズに答えようとするため、1,2年で成果につながるような仕事をし始める。そして、シーズの蓄積がとまる。また、エンジニアリング的な仕事は研究者はしたことがないので、事業部からは役に立たないと言われる。そして、研究所は閉鎖される。ここでも、部門間、シーズニーズのつなぎ手が必要だ。


今後、VAIOのように事業リストラクチャリングが加速していくかもしれない。しかし、何を(どこを)すて、何に(どこに)集中するのか。何が事業衰退の要因なのか。安易なIT化、ソフト志向に惑わされれず、強みを忘れないでいってほしいものだ。



by km_g | 2014-02-09 12:36 | 日常